カオス!東京芸術大学は「最後の秘境」だ そこは「大人の幼稚園」だった

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また、鉛筆、消しゴム、紙を与えられて、「好きなことをしなさい」という問題に出くわした受験生もいるというから、もう驚くよりほかはない。
そして難関を突破した彼らたちを入学後に待ち受けているのは、この言葉だ。

“芸術は教えられるものじゃない”

しかし、そんな言葉に動じるような彼らではなかった。日々、常識と非常識の境界線を動かしつつ、たくましく生きる未来の芸術家達が、本書には続々と登場する。

絵画科日本画専攻の高橋雄一さん(仮名)は、元ホストクラブ経営者。スプレーで壁やシャッターに絵を描くグラフィティにハマっていたところ、警察に補導されてしまい少年院へ。その後夜の世界へ転じるも、刺青に興味をもち、日本画の道を志すようになる。

音楽環境創造科の青柳呂武さんは、口笛の世界チャンピオン。名実ともに口笛会の頂点に立つ彼は、一日3、4時間を口笛の練習に費やす。クラシック音楽に口笛を取り入れることを真剣に考えながらも、口笛は遊びと言い切る。

逃れられない衝動があるから

この二人だけをみても、頂点だけを目指して一心不乱に邁進するエリート風とは、少し異なる様子が見てとれるだろう。何をしてもいいよと言われても、いつの間にかそれをやっている。本当に好きなのか、自分でもよく分からないのだが、なぜかその世界に戻ってきてしまう。志したのではなく、逃れられなかった。そんな自分たちの選択に、彼ら自身も戸惑っているようである。

その戸惑いから解き放たれ、湧き上がってくる何かがエスカレートしていく様も、見どころの一つだ。まさに芸術と犯罪は紙一重である。藝大生の多くに知られる仮面ヒーロー、それがブラジャー・ウーマン。

ブラジャーを仮面のように顔をつけ、上半身はトップレス。乳首の部分だけ赤いハートマークで隠し、下半身は黒いタイツというヒーローである。悪の組織、ランジェリー軍団と日々戦っているそうだ。本当にお疲れ様です! 

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