僕の芸大受験経験は、だから今でも役に立つ 受験のときに編み出した「成長への最短距離」

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絵がうまくなくても、東京芸大に合格できた。この経験が、今も役立っている(写真 : niko / PIXTA)
長年コンテンツ業界で仕事をしてきた岩崎夏海氏が、その中で培った「価値の読み解き方」を駆使し、混沌とした現代のライフスタイル感をつづります。本記事は岩崎夏海メールマガジン「ハックルベリーに会いに行く」(夜間飛行)からの転載です。

 

ぼくは、大学は東京芸大の美術学部に進んだが、幼い頃、ぼくは必ずしも絵を「描く」のがうまかったわけではない。ただ、目は良かった。物事を正しく見る能力に長けていた。だから、何もしなくてもほかの子より絵が上手かった。ほかの子たちは、まず「見る能力」に欠けていた。それで、小学校に上がるくらいまでは誰よりも絵が上手かった。

ところが、小学校に上がるとぼくより絵のうまい子がぽつぽつ現れるようになる。それは、絵を描くのが好きな子たちだ。そういう子は、「描く技術」でぼくを上回った。ぼくはあまり描かなかったので、技術がなかなか伸びなかったのだ。

それに、そもそも絵を描くことも好きではなかったので、やがてほとんど描かなくなった。そうして、以降は高校まで絵を描かなかった。

注目したのは、合格者たちの「体験談」

当記事はプレタポルテ(運営:夜間飛行)の提供記事です

ところが高校一年生の終わり、大学受験をどうするかという話になったとき、成り行きで東京芸大を受験することになった。そのため、そこからあらためて絵の勉強をしなければならなくなった。

しかし、芸大に受かるためには、高一冬からのスタートは遅かった。受験まで二年しかなく、これではとても現役で受かりそうになかった。

それでもぼくは、その状況を絶望的と考えなかった。そうして、そこから「どうすれば現役で芸大に入れるか?」ということを考え始めた。受験から逆算して、どのような能力をどのように伸ばせばいいのか、受かるための戦略を立てていった。

そこで、最初にしたのは情報収集だった。美大受験のためのムックを片っ端から読んで、絵の上達方法を学んだ。しかし、それ以上に注目したのは、芸大合格者たちの「体験談」だった。彼らが一体どのような方法で上達したのか、そのノウハウを学ぼうとした。

次ページ受験まで残り半年、合格ラインには程遠いが・・・
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