10月25日上場、JR九州の課題と拡大戦略 鉄道事業の赤字を脱却しても経営課題は山積

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2015年7月に報道公開された「或る列車」。青柳俊彦社長(左から3人目)の喜びもひとしおだった

9月15日、JR九州の東証上場が決まった。今回売り出されるのは1億6000万株、売り出し価格が決まるのは10月17日、上場日は10月25日だ。福岡証券取引所にも10月26日に上場する。国鉄分割により発足したJR旅客6社のうち、JR東日本、JR西日本、JR東海に続く4社目の上場となる。

JR九州の上場にはこれまで障害があった。旧国鉄分割・民営化の際、経営支援策として交付された経営安定基金の存在だ。その額は3877億円、JR九州の資産総額の3分の1を占める。同社の経常利益の5割弱を稼ぎ出す重要な収益源だった。

5215億円の減損処理を断行

経営安定基金は国の補助金。上場する際には返還すべきという声もあった。だが、結局は返還せずに取り崩すということで決着。2016年3月期に取り崩した基金は鉄道事業の収益改善に使われることになった。

取り崩した基金の使い道として、まず行なわれたのが新幹線貸付料の一括返済だ。JR九州は新幹線の設備を鉄道・運輸機構から借りており、貸付料は年102億円。40年まで支払いが続く。そこで取り崩した基金を使って将来の貸付料を前払いした。借入金の一部返済も行なっているため利払い負担も減る。

さらにJR九州は、この期をとらえて過去の膿を一気に吐き出した。2016年3月期に5215億円という巨額の減損損失を計上したのだ。とくに大きいのが鉄道事業の固定資産の減損。将来にわたって行なわれる鉄道の構築物や機械設備の減価償却を先取りしたようなもので、今後の償却負担が軽くなる効果がある。新幹線貸付料の支払いがなくなり、減価償却費の負担が減った。こうした施策により鉄道事業の収支は大きく改善し、利益の出る体質に転じたのだ。

もともと、JR九州の連結経営では駅ビル・不動産を筆頭とした多角化事業が利益の稼ぎ頭だった。経営安定基金を取り崩した結果、運用益は今後得られなくなるが、鉄道事業が黒字化することで、株式市場でも投資対象としてとらえられやすくなったといえる。

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