向谷実氏考案の「ホームドア」JR九州で実現へ 日本信号と共同開発!重量半減、16年度内に

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音楽館が開発した新型ホームドアの試作品。板状の扉の代わりに互い違いになったバー(棒)を使っている(撮影:梅谷秀司)

熱烈な鉄道ファンとして知られるミュージシャンの向谷実さんが社長を務め、鉄道の運転シミュレーター開発などで知られる企業「音楽館」。同社は昨年、板状の扉の代わりにバー(棒)を使うことで軽量化を図った新型のホームドアを開発、昨秋に千葉県の幕張メッセで開かれた「鉄道技術展」に出展し、大きな反響を呼んだ。

その新型ホームドアの実用化に向けたプロジェクトが、現在着々と進んでいる。設置を計画しているのは、福岡市の地下鉄と相互乗り入れを行うJR九州の筑肥線だ。鉄道信号のほかホームドアの分野でも大手である日本信号と組み、同線の「九大学研都市駅」で今2016年度内の実用化を目指している。

雑談から生まれたアイデア

何気なく両手の指を交差させていたところからアイデアが生まれたと語る向谷さん(筆者撮影)

音楽館が開発した新型ホームドアは、板状の扉の代わりにバーを使うことで従来型より大幅に軽くなっているほか、バーをくしのように互い違いに配置しているため、ドアが開いた際もお互いの隙間に収納され、機器の厚みを抑えられるのが特徴だ。

国土交通省によると、ホームドアの設置駅数は2015年9月末時点で全国621駅。年々増えているものの、普及のペースは決して速いとはいえない。その大きな理由はコストだ。従来型のホームドアは重量が重く、設置の際にはホームの補強などに莫大なコストがかかる。そこで、以前からホームの安全性向上に関心を抱いていた向谷さんが解決策として発案したのが、バー式のホームドアだ。

向谷さんがバー式ホームドアを考案したのは2015年の年明け。JR九州の青柳俊彦社長との雑談がきっかけだったという。「ホームドアを設置できればいいが、重量が重くてコストもかかる」という話の中で、何気なく両手の指と指を交差させながら話していた向谷さんがふと思いついたのが、板状の扉の代わりにバーを使ったホームドアのアイデアだった。

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