レアアース報道に潜むエネ庁と科技庁の温度差 南鳥島レアアース開発は30年かけても難しい(2)

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私が気になって仕方がないのは、日本のレアメタルやレアアース資源の専門家がなぜか沈黙を決め込んでいることである。レアアースブームで騒ぎ過ぎた専門家たちは、自分たちの見込みが当たらなかったので、あまりにも恥ずかしくて沈黙を守っているのかとも深読みしたくなるほどである。

なるほど、科学技術の発展は重要である。資源エネルギー庁と科技庁では、資源獲得のための時間軸も違えば目的も微妙に違う。だが今の日本には、そんな無駄遣いをする余裕はないはずだ。

南鳥島のレアアース開発について否定的なコラムを書いた結果、賛否両論が出てきて、資源問題を再度認識することになったのではないか。南鳥島開発が資源開発のあり方のアンチテーゼの役割を果たしたのかもしない。今後は省庁間の縦割り構造を改善しながら、税金の使い方にも「生き金」か「死に金」かをチェックするシステムが必要ではないか。

資源ブームは去ったのか?

さて、話は変わるが、南鳥島のレアアース話が久々のように思えたとおり、実は中国などの新興国の高度成長期待が低下するなか、オーストラリアなどの資源関連の投資ブームは一巡してきた。

今年の鉱山セクターにおける設備投資は前年割れとなっている。資源ブームは緩やかに下降傾向を示していると云えよう。金融不安や世界景気の下落から資源価格は軟化している。今後は景気回復がよほど進まない限り、リーマン以来回復してきた世界景気は再度減速する可能性も否定できない。これまでのけん引役を引き受けてきた中国景気の動向次第では、さらに落ち込みが進むかもしれない。

いまから考えると、こうした大きな流れを中国は読めなかった。中国政府は、尖閣諸島の事件が発生してから、日本に対しレアアースの輸出禁止をした。確かに一時的には日本の産業界は大騒ぎになった。だが、すぐに中国以外の資源開発に着手し、代替材料の開発を急いだ。

その結果、世界は、中国のレアアース離れに向かった。オーストラリアや米国、ベトナム、インド、カザフスタンなど、世界中でレアアース資源の開発が進んだのだ。中国政府はレアアース市況が下がってきたので緊急に輸出制裁の形を変えて国内鉱山の生産停止をしたが、逆に密輸が増加したため、さらに国際市況は暴落の一途をたどった。

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