レアアース報道に潜むエネ庁と科技庁の温度差

南鳥島レアアース開発は30年かけても難しい(2)

実はこの構造は、1970年代の「逆石油ショック」と同じ構造である。1986年原油価格の暴落から15年間も石油市況は低迷したように、いったん減った需要や代替品に逃げた需要を元に戻すのは難しいのである。今から長期間、レアアース市場がもとに戻ることはないだろう。つまり、中国がレアアース資源に対して支配権を持っているというのは、単なる思い込みということになる。

レアアースの市況は近々、一段下落する

現在の市場動向は極めて複雑であるが、筆者は誤解や思い込みを排除して、レアアース市場の未来を以下のように読んでいる。

アメリカの大手、モリコープ社はマウンテンパス鉱山を再開したが、おそらくレアアース市況は中国の影響でモリコープ社の生産コストを割り込むまで下落するだろう。また、オーストラリアのマウントウェルド鉱山もマレーシアの精錬工場の稼働とともに、原価コストを割るところまで国際市況は下落すると予見している。仮にこのどちらかの工場が生産を将来停止した時に、世界市況の最安値をつけると予見している。

2011年に日本の希土類磁石のメーカーは資源制約のため、また中国政府系企業の要請もあり、レアアースマグネット工場を中国合弁で設立する流れがあったが、中国のゴリ押し交渉により合弁条件が合わなかったため、計画はいったん無期延期になった。その結果、日本メーカーは中国と組む可能性は少なくなった。一方、レアアース資源の供給基地の多様化が進むのでレアアース市場は安定化に向かうだろう。中国はいまでもレアアースで世界制覇をもくろんでいるが、これも大いなる誤解である。

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