経産省エース官僚、再生エネルギーを語る 再エネ普及を阻む「送電線」問題

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この議論は程度の問題。日本でもFITを永久にやっていれば、当然、いつかはドイツと同じ水準まで上がることになる。

ちなみに、ドイツでは2000年にFITを開始しているが、09年時点での賦課金は月額約400円だった。そこから急激に上がったのは、太陽光が急激に導入されたこともあるが、電力多消費産業の賦課金減免対象を大幅に広げた要因が大きい。賦課金の取りっぱぐれを翌年に回収したこともある。こうした09年以降のドイツでの急激な賦課金上昇は、シリアスな問題として勉強しておかなければならない。

ただ、日本に今その心配があるかというと、そうではない。当面、ドイツの最初の10年と同じカーブが続くだろう。2013年度の買い取り価格の改定と導入の増大を読み込んで、だいたい月額120円くらい。今後毎年30円ずつ上がっていくような感じになるだろう。10年経って400円くらいなら、ドイツとほぼ同じペースとなる。法律でも、20年末には法制度の抜本的見直しをせよと書かれている。

われわれのアンケート(サンプル数2000人弱)でいっても、再エネに対する消費者の認知度は96%あり、再エネをもっと広げるべきと考える人も9割以上いる。その方々に賦課金はどれくらいのレベルが望ましいかと聞くと、月額100~500円が4割くらいでいちばん多い。

太陽光にだけ甘く接するつもりはない

――今は太陽光ばかりに設備認定が集中している。

今のところ太陽光の非住宅の設備認定が多いが、大型の太陽光は日本全国でもやれる場所は限られている。無茶な場所でもやれるほど買い取り価格を上げるつもりはなく、太陽光にこれ以上甘く接するつもりもない。量としてはやはり、風力や地熱なんかが伸びてこないとダメだ。

そのためにも、せっかくFITを導入したからこそ、風力にとって致命傷となる送電線の問題や規制緩和の問題をちゃんとやっていかねばならない。そうしないと、皆が無理な立地をして、コスト実績ベースで値段が上がってしまうことになる。合理的かつ大規模にやれる事業者がちゃんと事業ができて、毎年必要なコストダウンを実現できるような環境整備を行う必要があると思っている。

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