経産省エース官僚、再生エネルギーを語る 再エネ普及を阻む「送電線」問題

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むしろ気になるのは、今年の3月までに運転開始すると言っていた事業者が、ちゃんと予定どおり開始するかどうか。設備認定を取ったはいいが、土地の確保ができなかったという事業者もいる。ある程度、土地確保の見通しがないと設備認定を受けられないが、土地の借用書までは要求していない。12月末の実績発表が今年3月までずれ込んだのも、電気料金の賦課金のベースとなる電力会社の買い取り実績と、事業者が申請時に予定していた運転開始量との間に開きがあり、精査するのに時間がかかったためだ。

――事業者が申請どおり運転開始をしないというのは、かなり問題では。

太陽光パネルを予定どおり調達できなかったとか、いろいろ事情があるようだ。あくまで予定であって、違法ではないが、データを公開するうえでは(設備認定の数字は)信頼性に欠けることがわかったので、運転開始を実績ベースで調べ直した。太陽光の非住宅は設備認定が385万キロワットに対し、運転開始が20万キロワットしかない。今後も大型のメガソーラーを中心に、申請どおりにいかない事業者が増えてくると考えられる。

――今年1~3月の設備認定の動きはどうか。

やはり12月、1月が多く、2月、3月とだんだん減ってきた。3月末の数字が12月末の実績(再エネ全体で523万キロワット)の倍になることはないだろう。ただ、あくまで設備認定であって、本当に運転開始につながるかはあまり信用できない。設備認定の数字は、「先行参考指標」といったものだろう。

ひとつの土地に複数事業者から申請が出ることも

――3月末の運転開始はどれぐらいになりそうか。

それが現状ではまったく読めない。大型のものほど運転開始に至らないケースが目立っている。ときどき何万キロワット、何十万キロワットという大型設備を申請する事業者もいるが、土地の確保を主な理由としてギブアップすることもある。今は土地の借用書までは求めていないが、あまりこういうケースが増えるようなら、もうすこし土地の確保見通しの条件を厳しくするような措置を考えなくてはならないかもしれない。

たまに、ひとつの土地に対して複数の申請が出てくることもある。これも統計上は複数の設備認定としてカウントせざるをえない。ひとつの土地に3件の申請というのもあった。こちらとしても地権者に問い合わせはするが、最終的にどの事業者にするかは、こちらが裁くことはできない。もちろん、最終的に電気料金に賦課金として計上されるのは、運転開始となる事業者分のみとなるが、設備認定の数字としては非常に波乱含みだ。

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