初対面でも話を引き出すNHKアナの秘密 相手の本音は「5秒の沈黙」で引き出せる

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話を聞くといっても、ただ耳を傾けていればいいというわけではありません。相手が本当に言いたいことを一緒に探す。それが、本当の傾聴です。相手が言いたいことは、相手の心の中にあります。

相手が言葉を探しているときは 「5秒間、黙る」

会話の最中に「あれについて話そう。どうやって話したらいいかな」などと考えているうちに、話題がまったく別のものに移っていて、結局、自分の言いたいことを話せなかった……。そんな経験をしたことがある人は、少なくないと思います。

『小さな旅』の旅人を担当している山田敦子アナウンサーは、「相手が言葉を探しているときは、黙って待つことも大切」と言います。

「ロケの途中で、その場に居合わせた地元の方に話しかけることもあります。相手にとっては突然のことなので、何かを話したい様子でも、なかなか口ごもって言葉が出てこないケースがあります。漁師さんや職人さん、農家の方。みな、打ち込んでいる自分の仕事について話せることがたくさんあるはず。でも、すぐには言葉にならない。当然ですよね。そういうときは、間が空くことを恐れずに、5秒間、黙ってみる。そうして待っていると、いいお話を聞けることがよくあります」

会話をしていると、ちょっとした沈黙の時間が気になることがあります。そこで、場をつなごうと質問を続けたり、別の話題をふったりしたくなります。自分としては助け船を出してあげよう、話を盛り上げようという気配りのつもりでしょう。しかし、そうした「沈黙の時間」は、相手が何を言おうか、考えている時間である可能性があります。

にもかかわらず、次々と質問をしたり、違う話題に変えたりすれば、相手は「せっかくこれから話そうとしていたのに……」と不完全燃焼に終わりますし、コミュニケーションもぎくしゃくしてしまいます。

NHKアナウンサーは、インタビューや取材をするとき、相手が考えている時間を奪わずに、待つことを心掛けています。その先に、面白いお話を聞けたり、意外な話の展開になったりすることが多いからです。  

「会話が途切れないこと=充実したコミュニケーションができていること」ではありません。初対面のときなどは、5秒間の沈黙は長く感じるかもしれませんが、ちょっと我慢してみてください。沈黙を恐れずに待つことは、聞く姿勢として大切なことです。

沈黙が怖いなら、相手の言葉を繰り返してしのぐ

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今が待つべき「間」であるかどうかは、相手と真摯に向き合っていれば、だいたいわかるようになってきます。何かを考えているときの顔と、言い終わってすっきりしている顔とでは、まったく印象が違うからです。

このあたりの見極めは、ある程度の経験も必要かもしれませんが、「間」が空いてしまったときに、「相手は何を言おうか考えているのかもしれない」という意識で、相手の表情を観察する。その積み重ねによって、待つべき「間」がわかるようになってきます。

どうしても沈黙が気になるという人には、相手の言葉を繰り返すという方法もあります。相手が「今の商売を始めてから30年になります」と言ったあと、何かを言いたそうにしているようなら、「30年ですか」と相手の言葉を繰り返す。そうすると、あなたが相手の話に興味をもっているというメッセージになり、相手は安心して話を続ける気持ちになります。

口数が少ない相手や言葉がなかなか出てこない相手とコミュニケーションをとりたいときには、おすすめの方法です。

NHK放送研修センター・日本語センター

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1985年、NHK放送研修センターの設立と同時に発足。放送で培った「ことばコミュニケーション」の知識、経験を広く社会に普及させる活動を行っている。NHKアナウンサーなど職員に対する研修の他、社会人に向けたことばセミナー、朗読講座や、大学や専門学校での講義、企業や自治体に出向いての研修など、幅広く実施している。講師は、全員アナウンサー経験者。

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