イオンはダイエーを再建できるのか 丸紅からダイエー株を買い子会社化へ

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責任の所在があいまい

ダイエーの業績改善が遅れたのは、「責任の所在が不明だった」(岡田元也・イオン社長)ためだ。会長はイオン出身、社長は丸紅出身と二頭体制を敷いてきた。

まず手を打つべきと思われた店舗閉鎖や人員見直しについて、両社には温度差があった。固定費削減を大胆に進めたい丸紅に対して、イオンは難色を示してきた。自社の拡大戦略にダイエーの経営資源を活用したいという思惑があったからだ。そもそもイオンは「連邦経営」を掲げた時代もあり、出資比率の低い会社に対して強引に経営の主導権を握ることはしてこなかった。

再建策のちぐはぐさが表れているのが、ダイエーのプライベートブランド(PB)の販売だ。イオンのPBである「トップバリュ」は、ダイエーにも供給されており、ダイエーの商品戦略の中心となるはずだった。が、店頭での存在感が薄い。12年2月期のダイエーにおけるイオンPBの販売額は210億円で、「おいしくたべたい!」を中心としたダイエーの自社PBの販売額440億円の半分以下にすぎない。関係者は「ダイエーや丸紅が自社PBや商品供給額を増やしたいため、トップバリュの調達が抑えられてきた」と話す。

出店に関しても、イオンやダイエー、丸紅とイオンが出資する食品スーパーであるマルエツの間で何ら調整が行われていない。イオンは大都市シフト戦略を掲げ、ダイエーが食品スーパーを多く展開する首都圏で小型スーパー「まいばすけっと」の大量出店を続ける。ダイエーも昨年9月に南浦和でマルエツの近隣約100メートルの至近距離に出店を行った。「以前は多少の調整があり、イオンから物件紹介もあったが、今は何もなくなった」(関係者)。

両社の間では「商社の丸紅に川下(小売り)はわからない」(イオン関係者)、「イオンはダイエーをPBの受け皿としてだけ考えている」(丸紅関係者)と反目する声が絶えなかった。

丸紅にとってダイエー株売却はもはや必然だった。丸紅のダイエーに対する商品供給額は09年度1100億円、10年度790億円、11年度760億円と減少を続けてきており、原価や経費を除くと「最終的に丸紅に残るのは年間10億~20億円程度で、うまみは少ない」(関係者)からだ。

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