カーライル、投資ファンドの知られざる実像

安達・日本共同代表に聞く

――業種は絞っていますか。

安達 カーライルは製造業への投資実績がもともと多い。日本のモノづくりには強さがあり、もっと伸ばせる部分があります。ただ、製造業だけがいい投資先とは思っているわけではありません。コンシューマーやヘルスケアなど、成長を望んでいる企業、産業には積極的に取り組んでいます。

――投資先を選ぶ基準を教えてください。

安達 事業そのものの成長が見込めるかを精査するなど、いくつか厳格な投資基準を持っています。日本の場合は、外部から経営陣を入れて会社を変えていくのは難しく、既存の経営陣をそのまま継承するケースが多い。つまり、経営陣の資質の善し悪しが重要な基準になります。大株主としてカーライルが入ったときに、本当に信頼関係を築けるかどうか、という面もまた重要です。

われわれは、投資した後にいつかイグジット(株式を売却し利益を得ること)しなければなりません。お互いにハッピーになれるかどうか、投資する段階からある程度想定します。イグジットした後も、会社が継続的に成長できるようにサポートするわけです。

多くの会社はIPO(新規株式公開)をしたい、上場したいと考えています。上場できるようなケースであればできるだけサポートはしますが、日本の実態を見ればベストでないかもしれないし、会社によってはいいパートナーを見つけたほうが事業価値は上がるかもしれない。海外も含めた大企業の傘下に入ったり、合併したりするケースも考えられます。上場だけを狙うのか、上場以外の選択肢も視野に入れて投資をするのか、ということは投資を決める際に検討しています。

「出口」はIPOありきではない

――必ずしもイグジットは、IPOありきではないということですね。

安達 最近、チムニー、ブロードリーフ(自動車業界向けソフトウエア)と、IPOによるイグジットが続きましたが、ケースバイケースです。

たとえば、投資先の1つだったクオリカプス(医療用カプセルメーカー)は今年3月、三菱ケミカルホールディングスのグループに入りました。三菱ケミカルが化学から医療にシフトしていくという中で、この会社を重要な位置づけに置いて育ててくれるという話があり、イグジットを実現できました。

※塩野義製薬の子会社だった「シオノギクオリカプス」をカーライルが買収したのが05年。同社は、新薬開発に資源を集中させたい塩野義にとってノンコア事業だった。国内外での成長ポテンシャルを見込んだカーライルは、安達代表や富岡マネージングディレクター、米国法人のシニア2人が社外取締役としてクオリカプスの経営に参画した。

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