カーライル、投資ファンドの知られざる実像 安達・日本共同代表に聞く
――カーライルの日本における強みとは?
安達 日本では20人のチーム全員が日本人で、日本のビジネスをよくわかっており、投資先と信頼関係を築けます。いま日本企業の間で共通のテーマは海外展開。カーライルは世界的にこれまで約500件に投資していて、さまざまな業界でどのように投資先企業を成長させ価値を上げたかという実績と経験、そしてネットワークがある。これが役に立つ。「ぜひカーライルと一緒にやりたい」という話を、色々な企業から受けているところです。
――進出当初と比べると?
安達 チャンスの「始まり」という意味では、13年前と似ています。ただ、当時はPEが理解されていませんでした。まず「PEとは何か」「カーライルとは何か」を理解いただくことが先決で、わかってもらうまで時間がかかりました。
ですが、最近はPEファンドというものをわかってもらっている人が多くなってきています。われわれが出向けば案件は早く進む。向こうからも「この案件はどうか」「投資してもらえないか」と。数としては明らかに増えています。
従業員1000人以下の中堅企業が主な投資対象
――どんな企業に投資するのでしょう?
安達 圧倒的に中堅企業との話が多いですね。中小企業とは違いますが、コングロマリットでもない。ブランドや技術を持っていても、海外展開や国内におけるマーケティングで、必ずしも優れた能力を持ち合わせていないような企業です。
会社の価値としては200億~300億円ぐらい。それに100億~150億円程度を投資します。従業員数で言うと1000人以下が目安です。これより大きくなると、昔からのカルチャーが強く、会社を変えようとしても、なかなかうまくいかない。
一般的に優秀な人材は大企業に多い。中堅企業は社長が一生懸命リードしています。それをわれわれが人的な面などでフォローする。たとえばM&A(企業の合併・買収)を一緒にやる。要するに彼らができないことをわれわれが、支援するということです。