スクエニ、「ドラクエ」「FF」頼みの限界 和田社長退任でも、拭えぬ不安
確かに、スクエニの業績は11年3月期以降、冴えない。11年3月期は合併後に買収した業務用ゲーム機のタイトー(05年)、英ゲーム開発会社のアイドス(09年)で減損処理を行ったことなどにより、初の最終赤字に転落。「成功を疑わない」と謳っていた「ファイナルファンタジー14(FF14)」の完成度が不十分で、10年9月の発売3カ月後に改修作業を始めるというお粗末もあった。12年3月期はやや持ち直したものの、今年度は再び最終赤字へ沈む。
今年度業績が大幅に悪化した主因は、欧米における家庭用ゲーム機向け大型ソフトの不振にある。東洋経済オンラインが2月14日に配信した「スクエニ、黄金タッグの誤算」で指摘した通り、「スリーピングドッグス 香港秘密警察」(12年8月発売)、「ヒットマン アブソリューション」(12年11月)、「トゥームレイダー」(13年3月発売)の販売が、期待ほどの成果を上げられなかった。
「トゥームレイダーで挽回」のアテも外れる
それでも、スクエニは第3四半期(12年4~12月期)まで業績見通しを修正しなかった。「トゥームレイダー」に一縷の望みを託していたからだが、それもアテが外れた。
アミューズメント機器も足を引っ張った。子会社のタイトーを通じて販売する「超速変形ジャイロゼッター」(12年6月発売)は、車がロボットに変身して対戦するというゲームデザインがユーザーに伝わらず、最後まで機器販売、運営収入ともに振るわなかった。タイトーは09年の買収当時、「規模の拡大のみを目指した他の統合とは一線を画す」と意気込んでいたが、いまだに目立った成果を上げられていない。
今年度の“戦犯”と言える「ヒットマン」、「トゥームレイダー」も買収した英アイドスのIP(=Intellectual Property。知的財産)である。その意味で、スクエニの買収はことごとく失敗に終わっている。08年にはテクモに提案した株式公開買い付け(TOB)を、テクモ側が「血の通った提案には見えない」と憤慨したことから、拒否されるという出来事もあった(のちにテクモはコーエーと経営統合)。
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