黒田日銀で政策委員は”変心”するのか

4月3、4日の日銀金融政策会合に世界が注目

二つを統合して長期国債の買い入れを進めるとなると、日銀にはある不都合が生じる。自主ルールとして設けてきた「銀行券ルール」が意味をなさなくなるからだ。同ルールは、銀行券残高(3月20日時点で82兆円)に対応し、その範囲内で長期国債(同67兆円)を買うオペレーションのこと。上限を設けた国債の買い入れであるため、日銀の買い入れは国の借金を手助けするような「財政ファイナンス」を目的とするものではないとしてきた。

しかし、単純に基金による買入れ残高(同26兆円)を合わせると長期国債の残高合計は93兆円と銀行券発行残高を超えている。実質的に銀行券ルールは形骸化している。それでも、日銀は基金を通じた買い入れを、長めの金利の低下を促す金融緩和を目的とした「臨時の措置」と区別し、銀行券ルールを遵守していることを強調してきた。

白井委員(11年4月就任)がこの提案を行ったのは、3月の会合が初めてだった。ただ、3月12日に公表された2月13、14日の決定会合の議事要旨によると、基金による長期国債買入れと銀行券ルールに基づく買入れの統合が、「(追加緩和の)選択肢になりうる」と、複数の委員が述べたことが記されている。その際、銀行券ルールの扱いをどうするのかという言及もあった。

「賛成1・反対8」が「賛成9・反対0」に変わる?

2月の会合で議論されたものの、結局、3月に白井委員が行った提案は賛成1、反対8で否決された。では、黒田総裁の初会合で統合案がさらに議論されるのか。

国会で銀行券ルールの在り方を問われた黒田総裁は「当然、(見直すかどうかの)検討対象になる」と答えた。金融政策の「端的な運営」を重視する黒田氏からすれば、位置づけがあいまいになっている銀行券ルールにこだわる理由はないはずだ。岩田規久男副総裁も国会で同様の質問を受けた際、「FRB(米連邦準備制度理事会)は日銀のような制約(銀行券ルール)を設けていない。物価安定のために何ができるかという視点で考えていけばいい」と話している。

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