ポケモンGOで跳ねた任天堂の適正株価とは? このヒットだけでは生き残れない
「ポケモンGO」で株価が急騰後、急落した任天堂。ここへきて、株価がジワリと上昇してきた。9月6日現在の株価は2万3550円だ。もっとも、上昇したといっても、7月の3万2700円には届いていないばかりか、2007年1月の史上最高値7万3200円には遠く及ばない。同社の株価は、どれくらいが適正なのだろうか。
任天堂には本当に「成長ストーリー」があるのか
通常、証券アナリストが、ある企業の投資判断をする際(その企業の株式は「買い(Buy)」なのか、「中立(Hold)」なのか、「売り(Sell)」なのかの判断)、「理論株価」を算出して行う。
計算の方法は、企業が将来にわたって、稼いで生み出すキャッシュフローを、現在価値に割り引くことによって算出される。株価は、短期的には、外的要因(為替動向、財政・金融政策、地政学リスク、投資家心理など)で上下するものだが、中期的には、この理論株価に収斂する。
中長期的な成長ストーリーがないと、株価は持続的に上昇しない。この点で、任天堂は、今後どのようなビジネス戦略をとっていくことによって、業績を回復させ、拡大させていくのか(前期の純利益は最高益だった2009年3月期の2790億円のわずか約6%にしかすぎない)。これらを投資家に、より具体的かつ明確に説明して納得させることが必要である。
今風に言えば、こうした戦略をとることにより、国内外の投資家に「いつまでにROE(株主資本利益率)を8%以上にできるか」など、説得力をもって説明することが求められる。
株式は、「期待」で買われるものだ(実際「ポケモンGO」現象で裏付けられた)。それゆえ、今でこそ業績は振るわないが、「今後はこうした戦略をとる計画で、来年度にはこれくらいの利益が期待できる」など、説得力をもって「投資家との対話」をすれば、株価は上がるものだ。
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