インバウンドで関西経済「再活性」への道筋 どないやねん?ポスト橋下の大阪・関西
旺盛な需要を背景に、各事業者は特に戦略的な取り組みを行わなくても、ある程度はインバウンドからの収益を得ることができるだろう。しかし、成熟した日本社会においてアジアの成長を取り込むことは、経済活性化の数少ない機会であり、それを最大限に生かすことが、低迷する関西経済復活の足掛かりになりうる。小さな果実で満足せず、大きく実らせることが重要である。
インバウンド消費は関西の域内総生産80兆円のうちおおむね1~2%を占める。それがさらに倍になるということは、域内総生産の成長率を1~2%押し上げる効果が見込まれるということ。そのインパクトは大きい。
注目すべき5つの視点と具体例
では、訪日外国人観光客を増やし関西経済の起爆剤とするために、重要なことは何か。5つの注目すべき視点、キーワードと具体的なスポットを紹介していく。
①洛北などに代表される長時間滞在可能な「体感・体験」型の観光地 (例:鞍馬・貴船神社)
観光スポットは、来日したらまずは訪れるべきと考えられている入門的な「定番・見物」型のエリアと、通好みで比較的長時間の滞在を前提とした「体感・体験」型に大別することができる。前者の代表的なスポットとしては大阪城、清水寺、金閣寺などが挙げられ、後者では嵐山、高野山などが代表的である。
今後リピーターの増加に伴って、基本的には後者「体感・体験」型エリアへの訪問が増加すると考えられる。その中でもポテンシャルが高いのが、京都の洛北エリアである。洛北エリアは、貴船神社や鞍馬寺などを中心に「京の奥座敷」といわれる落ち着きのあるエリアであるが、MRIの調査では現状まだ外国人観光客の認知度、訪問率は低いものの、再訪意向率(当該エリアを訪問した観光客のうち「もう一度訪問したい」と回答した割合)が高い。少数ながら、訪問した外国人観光客が満足している様子がうかがえ、認知度が高まれば訪問者が急増する可能性がある。
②大阪、京都以外の「広域観光」 (例:神戸、海の京都、琵琶湖など)
関西における外国人観光客の訪問先は、現時点では大阪、京都に偏っているが、それ以外のエリアへの訪問も徐々に増えはじめている。国際的な知名度が高い広島、北陸新幹線によって首都圏からのアクセスが向上した金沢などは、そのポテンシャルに比して外国人観光客の絶対数は多くはない。姫路や六甲有馬といった神戸方面、天橋立などのある日本海側の京都、レジャーやマリンスポーツなどを楽しめる滋賀・和歌山なども伸びる可能性がある。
プロモーションの成功例はまだ少ないが、工夫次第でより外国人を地域に呼び込みやすい状況になっていくだろう。国が本格的に力を入れ始めている「広域観光」は、より重要なキーワードになっていくと考えられる。
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