「シェール革命」、石油メジャーはこう見る 仏トタルの探査・開発部門トップに聞く

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われわれは、米国のLNG輸出は最大でも年間5000万トン程度だとみている。ヘンリー・ハブの価格参照は、米国からの20年間の輸入計画に関連するリスクをとろうとする企業ならば行うことができる。

しかし、ほかの新規プロジェクトはそれに影響を受けることはなく、石油価格連動の体系がこれまでLNGの売り手と買い手双方にもたらしてきた可視性と安全性を引き続き必要とするだろう。

福島原発事故直後、いち早く東電にLNGを供給

――福島第一原発事故後、日本は高価なLNGの輸入増大で苦しんでいる。日本のエネルギー問題のソリューションとしてトタルができることは何か。

LNGに関するかぎり、日本を手助けする最良の方法は、新規のプロジェクトを開発して新たな供給をもたらすことだ。トタルはLNGプロジェクトにおいて世界をリードするプレーヤーであり、LNGの主要な生産者だ。現在、9カ所の液化工場において出資または原料ガス供給を通じて関与しており、新たに3つの液化工場を建設中だ。

われわれは、日本をはじめとしたLNGの需要増大に対応すべく全力を尽くしている。日本向けを主体として、国際石油開発帝石(INPEX)とパートナーを組んだイクシス・プロジェクトやグラッドストーン・プロジェクトなど、新規LNGプロジェクトに参画している。さらに、ヤマルLNG、サビンパス、ブラスLNGといったプロジェクトも研究段階にある。今後もLNGプロジェクトで日本企業との協力関係を深めたい。

関連会社のトタル・ガス&パワー(TGP)は、福島第一原発事故以来、日本に対するLNGのスポット供給を大幅に増やしてきた。それを通じて、原発停止による天然ガス需要の増加分に日本が対応するのを支援している。また、TGPは福島事故直後の非常に重大な局面において、東京電力に対しLNGのスポット供給を行った最初の業者の1社だったことを誇りに思っている。

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