ハフィントンポストが陥った「中年の危機」 なぜ創業編集長は辞任したのか
かつては躍動的な新参者であったハフィントン・ポストは、衰えを許さないデジタルメディア界において、老いを見せている(本記事の掲載[※原文掲載は8月15日]までに、エグゼクティブのコメントを出せないと、ハフィントン・ポストは米DIGIDAYに伝えてきた)。
ニュースウィップによると、Facebook上でのいいね!やコメント、シェアの数に注目した場合、いまだにハフィントン・ポストはもっとも影響力が大きいパブリッシャーとして君臨しているという。しかし、ほかのパブリッシャーもそこに追いつきつつある。
バイラルコンテンツを量産するBuzzFeedがそのひとつだ。ハフィントン・ポストの創立を手伝ったあと、ジョナ・ペレッティ氏はBuzzFeedを立ち上げた。去る6月にBuzzFeedは、Facebook上でハフィントン・ポストと、ほぼ同じレベルのエンゲージメントを獲得している。しかも、投稿数はハフィントン・ポストの3分の1でしかない。
過去1年半で、ハフィントン・ポストはアメリカのトラフィックの36%を失った。一方、BuzzFeedは一気に追い上げ、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストといった古参のパブリッシャーも、ハフィントン・ポストにほぼ追いついた形となった。
ハフィントン・ポストはオーディエンス獲得において、ホームページからの閲覧ではなく、記事やコンテンツごとに入ってくるサイドドア・トラフィックに、常に大きく依存している。そのためトラフィックの減少は、人々が違うプラットフォーム上でコンテンツを閲覧していることが一因となっていることは間違いない。これは業界全体のトレンドとも一致している(しかし、コムスコアの数字は、Facebookインスタント記事のトラフィックを含まない。またコムスコアがパブリッシャーたちのオーディエンスを完全に把握できているとは、パブリッシャーたちは思っていないという点も留意すべきだ)。
躍進後の停滞
ハフィントンが辞任を発表する前から、ハフィントン・ポストは勢いを失ったという印象が、メディアバイヤーや元エグゼクティブたちのあいだでもたれていた。ハフィントン・ポストは自らが最前線で築き上げた、ポータル時代を乗り越えて進化することができていない。よりフォーカスされたメディアの時代に入りながら、ハフィントン・ポストは、60以上のセクションを抱えている。なかでも定義が曖昧なカテゴリーに「離婚」「良いニュース」、そして内向的なオーディエンスのためという「静かな革命」がある。6月の段階で、グローバルに1日1500本ものエディトリアルコンテンツをパブリッシュ。NYTやBuzzFeedが、それぞれ1日に公開するコンテンツ数の実に6倍だ。