ハフィントンポストが陥った「中年の危機」

なぜ創業編集長は辞任したのか

「基本的にはハフィントン・ポストはポータルサイトになった。ポータルサイトはソーシャルプラットフォームによって置き換えられてしまった。もしも、消費者が広い範囲のニュースを知りたいと思った場合、ソーシャルプラットフォーム上を探すだろう」と、OMDの最高投資責任者であるベン・ウィンクラー氏は言った。

最初の段階では、リベラルな視点を大きく抱える場所であっただけで、ハフィントン・ポストにとっては十分であった。しかし、今日のバイヤーたちは、同サイトを「特別なところの無い、多くのことについて少しだけ触れているメディア」と捉えている。一方で、ウェザーチャンネルやデマンド・メディア、ブルームバーグ・メディアといった、ほかのパブリッシャーたちは自分たちが得意な分野に絞ったほうが良いことに気づいた。

広告主から熱望される、ミレニアル世代へ情報供給するという点では、ハフィントン・ポストはナショナル・ジオグラフィックやピープルなどと同等の価値しかない。ハフィントン・ポストにおける18才から34才のオーディエンス率は45%なのに対して、BuzzFeedのようなメディアはミレニアル世代に集中している。

エディトリアルに関しては、ハフィントン・ポストのように幅広いセクションを抱えていては、サイトが何を表わしているのか判断するのも難しくなっている。数年前、ハフィントン・ポストはNYTやヴァニティ・フェアから有名なジャーナリストたちを引きぬき、エディトリアルの信頼度を強化しようとした。2012年にはピュリッツァー賞を受賞すらしている。しかし、ピーター・グッドマン氏やロリ・レイボヴィッチ氏、マイク・ホーガン氏といった、これらの引き抜きジャーナリストたちの多くは、その後ハフィントン・ポストを去った。

イノベーターのジレンマ

ハフィントン・ポストはその報道に羨望と尊敬を集める一方で、不可解な動きも見せてきた。2014年に国家安全分野の報道をする記者として、元NFL選手のドンテ・ストールワース氏を雇ったのは、そのひとつの例だ。2015年の夏には、ドナルド・トランプに関する報道を、政治ではなくエンターテインメントのカテゴリーに、一時分類したりもしている。2016年に入っても、ハフィントン氏の睡眠に関する新しい本のプロモーションのために、リソースを割いていることに非難が集まった。

また、ハフィントン氏が役員として参加したばかりだったUber(ウーバー)に関する批判的なニュースネタを取り消したことも批判されている。また批判元は業界だけではない。つい先日、コメディアンであるジョン・オリバー氏のケーブルTV番組では、「ジャーナリズムの苦悩」について語るセグメントにおいて、「アリアナ・ハフィントンによる出版物やほかソースからの引用文・発信局」と、呼ばれてしまった。

ある意味、ハフィントン・ポストは自らの成功の犠牲者であると言える。リンクトインとミディアムといった、ほかの媒体によって、そのプラットフォームアプローチはコピーされ、ハフィントン・ポストのさまざまな寄稿者を呼ぶ戦略は、特別なものではなくなった。

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