ユニクロ社員が不幸になる"合理的な"理由

スタッフの足跡をたどって見えたもの

本稿では、ユニクロでの勤務経験は人を幸せにするのか否かを考える。町田店の元スタッフたちは、一様に「いい店だったね」と懐かしがりつつも、その店をスクラップした会社を批判はしない。むしろ「大手チェーンなのだから仕方ない」と、果敢なスクラップ&ビルドに理解を示した。厳しい現場で心身を鍛えられたことを感謝したり、ユニクロでの勤務経験が転職先の採用試験で大いに評価された人もいた。そして、全員が今もユニクロの服を愛用している。

ただし、ユニクロ経験を前向きに振り返るのは、アルバイトおよびパート社員ばかりだ。彼らは責任の範囲が限られており、転勤もない。勤務先店舗の雰囲気さえよければ、比較的高めの時給をもらいながら、忙しくも楽しく働き続けることができる。

社員は事情がまったく異なる。先日、『週刊東洋経済』の取材によってユニクロの離職率の高さが明らかになった。記事では、新卒社員の3年内離職率を平均36%と記しているが、僕の独自取材では、2002年に入社した社員(現在12年目)、約220人のうち、現在もユニクロ事業を含むファーストリテイリンググループで働いている人は20人に満たない。つまり、離職率は4年目以降も高止まりし、10年内離職率は8割を超すと推測できる。

辞める時に「どんな顔をしている」か?

辞めること自体に問題があるのではない。近年の日本は転職市場も発達している。次の職場で活躍すればいいのだ。だからこそ、辞めるときに「どんな顔をしているのか」が重要だと思う。

僕自身がその一人だったように、うつ気味になって暗い顔で退職していく社員が、ユニクロには多すぎる。彼らが他人と一緒に働く自信を取り戻すのには、長い歳月が必要になるだろう。僕は結局、独りきりで働く道を選んだ。

大げさだと言うならば、退職して数年以内に別の会社で生き生きと働いているユニクロ卒業生を挙げてみてほしい。あなたの周りに、例えば学生時代の知り合いに、一人でもいるだろうか。意気揚々とユニクロに入社したはずなのに、退職後は音信不通になってしまう人が少なくないはずだ。いったいなぜなのか。

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