ユニクロ社員が不幸になる"合理的な"理由 スタッフの足跡をたどって見えたもの

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高給やキャリアアップは期待できなくてもいい。信頼し支え合える仲間たちと一緒に安心して働き続けられる職場ならば、人は幸せを感じることができる。しかし、ユニクロ社員にはそれすら許されていない。

新卒入社した若者の8割を「排出」しながら高い利益水準と急成長を維持するユニクロ。これでいいのかと現役社員に問いかけたことがある。その回答は柳井社長の主張と見事に重なるので、上述の拙著から抜粋する。

「最初から『完全実力主義です』と謳っているんだから、実力のない人が退職するのは当たり前でしょう。辞めたければ辞めればいい。私は(ユニクロを)辞めたいと思ったことはまだないけれど、辞めたくなったらすぐ辞めますし、仕事ができない同僚にはすごく腹が立ちます。『早く辞めろ!』と内心では思っています。そういう人に限って、なかなか辞めないんですけどね。会社は家族じゃない。仕事なんだから、結果を出さないとお金をもらう資格はありません。私は仕事だと割り切っています。だから、結果が出なければ徹夜してでもやり遂げます」

なお、この社員は「プライベートではユニクロ服は着たくない」と別の国内ブランドの洋服で全身を固めていた。

あなたはこの会社で働きたいだろうか。自分の子どもを入社させたいだろうか。もし入るならば、「幸せな2割」になり続けることを祈るばかりだ。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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