「少子化の元凶」は本当に晩婚晩産化なのか 生物学的な面ばかり見ていても答えはない
先日、某商工会議所の少子化対策セミナーでパネリストを務めることがありました。当初の依頼でのシナリオは、「若くして子どもを産むことの利点を示し、少子化に歯止めをかけるべきことを女性の口から話してほしい」といった内容でした。
実はこの依頼には少し戸惑いを覚えました。確かに生物学的に見て、出産にふさわしい「適齢期」はあります。しかし、その時期に出産する人が増えず、むしろ減っているという現状を直視せず、ただやみくもに出産を促すのでは、抜本的な解決にならないのではないかと思ったからです。
そもそも、日本はなぜ晩産化の傾向にあるのか。少子化対策のために、高齢出産は極力、回避すべきなのでしょうか。議論の背景を改めて考えてみたいと思います。
「適齢出産」のメリット
時代の変遷とともに呼び方も改められる必要もあるとは思いますが、現在、定義上は35歳以上の出産を「高齢出産」と呼び、他方、19歳以下の出産を「若年出産」と言います。その両者の間、20歳以上35歳未満のいわゆる「適齢出産」の利点を考えてみると、恐らく「母体が妊娠しやすく、健康な母親から健康な赤ちゃんを望める可能性が高いから」というのが最大の理由となるでしょう。
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