新卒で金融業界に行くなら、外資系?日系? 【キャリア相談 Vol.8】

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端的に言うと、フロントは稼ぐ場所です。証券会社であればセールス&トレーディングのようなマーケット業務において、顧客に株式や債券を売って手数料を稼いだり、自己資金を使って株式や債券のポジションを取って稼いだりする部署のことを言います。また、企業を顧客として、M&Aや資金調達のアドバイスを行い、手数料を稼ぐ投資銀行部門もフロントといえるでしょう。つまり、フロントは顧客や市場と接点を持つ営業部門だといえます。

一方、バックオフィスは営業が売買した株式や債券の動きを帳簿や顧客口座につける事務作業を行うところです。実際の業務はフロントから流れてきたデータを確認し、他の金融機関のバックオフィスと数字の付け合わせを行ったり、整合性を確認したりする業務となります。ここにおいては専用端末とにらめっこする形態であり、扱っている商品がデリバティブなど複雑になればなるほど固有の知識は必要になってきます。また、取引にエラーやフェイル(証券の受け渡しの不履行)でも起きれば、ニューヨークやロンドンや香港などと電話をつなぎっぱなしにして事故に対応することになります。

クビはまれだが、東京オフィスごとなくなることも

フロントとバックの大きな違いは、フロントが収益責任を負う稼ぐ部署であるのに対し、バックは決済などを行う収益責任を負わない事務部門であるということです。また、外資系金融機関においては程度の差こそあれ、フロントは「自分たちが社員を食わせている」感があり、バックは収益を生まないコストセンターであるという感じはあります。そして外資系のほうが専業度は高いので、フロントとバック間での人の異動はなかなかありません。外資系金融機関に漠然とある、バンカーやトレーダーで年収数億円といった話は完全にフロントのものです。

外資系におけるバックのよさは、日系より相対的に高い給与をもらえ、フロントよりは市場環境に左右されずにクビになりにくいということがあります。外資系ではフロントの人員はほとんど変動費だと考えられているので、環境が変わればデジタルに切られます。ニューヨークから「○○部門のジュニアのヘッドカウント10人減らして」とメッセージが来たら切られます。

一方、決済のような業務は金融機関によって必要不可欠な業務なのでなくなることはありません。ただしコモディティ化した情報システム業務ではあるので、東京オフィスからなくなることはよくあります。「この業務はなくなるので、東京のスタッフは辞めるか、香港に移ってください」という話です。こうしたことは外資系の東京オフィスではよくあることですが、日系ではここまでドラスチックなことはあまりないので、相対的には雇用が安定しているといえます。

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