プロ伝授「スーパーでおいしい肉を買う」コツ 「と畜」から1日でも多い日数の肉を選ぼう

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だから牛肉は難しい。筆者も日々勉強しているところだ。しかし、「A5の肉がおいしい」というのが神話だということはよくわかっている。消費者の読者の皆さんには今後、牛肉を食べた後に「本当においしかったかどうか」をよくよく思い起こしていただき、自分なりのモノサシを作っていただければと思っている。

さて、長々と今の黒毛和牛の問題点について書いてきた。実を言えばこのテーマはとても深く、日本の牛肉問題のとば口に立ったにすぎない。しかし、いったんこの牛肉に関するテーマは今回で閉じさせていただきたいと思う。

そこで、最後に少しは役に立つ情報を掲載したい。それは、おいしい牛肉を選ぶ方法だ。

「え、それって難しいっていう結論なんじゃなかったっけ?」

そう、究極的には難しい。ただし、売り場に並んでいる牛肉商品の中で、複数の肉牛の個体から切り出した肉があるとき、どのように選んだら思いどおりの質を得ることができるかということについては、少しはアドバイスができる。

「個体識別番号」をもっと活用すべき

スーパーなど小売店頭に並ぶ牛肉には、必ず個体識別番号という10ケタの番号が表示されている。これこそ、日本が世界に誇る牛の個体識別データベースによるものだ。日本で育つ牛は1頭ごとに10ケタの番号で管理されている。そして、その番号を手に入れさえすれば、その牛に関する情報がかなりわかるのである。そこで、この個体識別番号を用いて、売り場に並ぶ肉の中からよりおいしいと思われるものを選んでみよう。

前提として、対象は和牛(黒毛・褐毛・短角・無角)とする。ということはホルスタインなどの「国産牛」表記のものは今回とは違うとお考えいただきたい。肉用種とは違うので、同じモノサシでは評価しにくいのだ。

想定するのは、来客数が多く回転がよい精肉店だ。そうしたところでは1頭分の牛肉だけを売っているわけではない。同時に複数の個体の牛肉を切り出して販売することもよくある。たとえばすき焼きにしようと考えたときに、異なる牛の個体の肉が並んでいたとする。

牛ロース肉のパッケージに、異なる個体識別番号が振ってあったとしたら、違う個体のロース肉が並んでいることになる。どちらを選ぶべきか? そこで10ケタの個体識別番号を、家畜改良センターのホームページにある「牛の個体識別情報検索サービス」に入力する。ここでは例として、私が過去に出荷した牛のデータ「0247736359」を入れてみよう。ちなみにこの牛は「国産丸」と名付けた短角和牛だ。

そうすると、牛の履歴が出てくる。どこで出生し、そこから何回か移動をして、最終的に食肉センターでと畜・解体された、その足跡がわかるようになっている。この国産丸の場合は、二戸市の大清水牧野オーナー牛舎というところで春先に生まれ、5月に大清水牧野という放牧地に出され、10月終わりにそこから一度牛舎に戻ってから11月に柿木さんという生産者さんに引き取られ、肥育されたということがわかる。

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