為替の状況によるものの、特にアメリカの55ドルとくらべると割安感がある。発祥の米国ではしっかりとした収入を稼ぎ、進出国ではまず価格を抑えて知名度向上をはかる。そして、知名度が上がったあとで年会費収入をあげるのは理解できる。
さらに前述の「FY 2015 Annual Report」を見てみると、この年会費収入の伸びが鈍化していることが危機感をもって書かれている。たとえば、2013年などは、昨年比で10%も年会費が向上しているところ、2014年の増加率は6%に鈍化、さらに2015年には同4%に下がっている。
さらに「本来であればもっと上がるはずが、為替のせいで相殺されてしまった」という記述もある。その影響金額は7600万ドル(約77億円)に至っているとしている。日本円から見ると今はドルに対して円高基調だが、ここ数年は円安基調だった。コストコはこの為替変動について毎年言及しており、2014年にも3500万ドル(約35億円)の影響があったとしている。
とくに日本について言及している箇所もある。それによると日本の売上高は、たとえば2014年には3億1100万ドル(約317億円)が為替変動によって失われた、とされている。くわえて同社は決算年度内のガソリン価格の下落にも影響を受けており、売上高を減らした。これらが、利益源である年会費のアップにつながっていったとみていいだろう。
それでもコストコ旋風は続くか
ただ、日本でコストコの会費が上がったといってもさほど客足に影響があるとは思いにくい。著者はコストコを愛用しており、コストパフォーマンスは高い。
とくにまとめ買いで消費するのがわかっているビールや、パーティ食材など、さまざまな用途がある。コストコは日本人にボリュームの多い商品をまとめ買いする文化を、おおげさにいえば「導入」した。
それまで、大きなカート、会員モデル、広い店内、広い通路……など、「日本では通用しない」と思われていた手法を、そのまま日本に導入したコストコ。日本人客も、そのサービスの質が高いと評価しているだろう。少なくとも店舗でのにぎわいとみるにつけそう思う。
割安な商品を大量に買えば、すぐに元を取れる場合もあるだろうから、日本において年会費が4000円から4400円に上がるのは、コストコ愛用者にとって大きな問題ではないのかもしれない。この値上げ後の客足を見ることによって、コストコがこの17年で日本にどれだけ根付いたのかがわかるだろう。
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