「塩バナナ」と「塩バニラ」は味の対比が楽しい 最近の塩味トレンドは「濃厚な味」がポイント
なぜこれほど塩味は人気なのだろうか? ソルトコーディネーターの青山志穂さんは、塩の専売制度の終焉が人気に大きく関係していると指摘する。これまで塩は2種類の加工法しか選択肢がない時代が長く、有識者などの一部を除き、塩の質や違いについて考える機会がなかった。だが、1997年に塩の専売制度が終わり、塩の商品数が爆発的に増えたのだ。
その結果、消費者は2000年頃からスーパーなどで塩を選択する自由を手に入れた。以前から使っていた調味料なのでそこまで抵抗感なく新しい味が試すことができ、選ぶ楽しさと実際の味の違いの体感から、自分の好みに合わせて塩を選ぶことが生活に定着し始める。現在では輸入品含め、なんと4000種類以上もの塩が商品化されているという。
味を大事にする原点回帰の流れ
また、食品メーカーにとっても、数ある塩の中からどの塩を使うかにこだわることで商品の味が変化し、そこまで単価をかけずに他企業との差別化が実現した。最近では塩の産地や種類にフォーカスを当て、パッケージに塩の情報を明記する商品も多い。こうした塩の流通背景と、素材そのものの味を大事にする味の原点回帰の流れに塩がはまり、昨今の塩味ブームが巻き起こったのだろう。
日本の定番調味料といえば「さしすせそ」。その言葉が表すように、塩は古くより欠かせない調味料だった。だが、塩を取り巻く環境はここ数十年で大きく変化していたのだ。伝統的かつ、実は新しい調味料、塩。組み合わせによっても無限に広がりそうなその魅力から、今後も新たな商品、メニューなどが登場する可能性に期待したい。
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