「言い訳させない上司」は成果を上げられない 部下とのその距離感、大問題です!
例えば、トヨタでは一人前の課長を育てるのに20年の歳月が必要ですが、その過程でやり方を見誤るとその時間を取り戻すのは至難の業です。後になって「やっぱりこう育てておけばよかった」と言っても、その人は20年前に戻ることはできないのです。トレーナーの大嶋弘は 、「一番タチが悪いのは、人を育てられない『いい人』だ」と言います。
本気で育てようと思っているからこそ
「新入社員の時、私と同期は同じ保全部門に配属されました。当時の保全は、2人1組の仕事が基本で、先輩の技を後輩が盗むという職人の世界でした。同期の先輩は非常に厳しい人で、いつも怒鳴られてばかり。一方の私の先輩は優しい人で、可愛がってもらいました。同期は私のことをうらやましく思う一方で、私は同期を気の毒に思いました。
しかし、それから5年がたった頃。厳しい先輩に育てられた同期ができる仕事を、私はできないことに気づきました。『このままではマズイ』と危機感を覚えた私は、必死で学んで5年間を取り戻すことになりました。今思うと、人当たりはいいけれど仕事を教えてくれない『いい人』はタチが悪いと言えます」
人当たりがいい先輩や上司は、一緒にいて心地いい存在です。ただその傾向だけが強いと、人に嫌われたくないために厳しいことも言わず、部下は育ちません。一方で、厳しくて一見「人が悪い」ように見える先輩や上司は、本気で育てようと思っているからこそ、言い方も厳しくなるのです。結果、長期的にはそちらの方が、部下は育ちます。
大嶋も「トヨタでは、厳しい上司のもとで必死にくらいついているタイプの方が、仕事もできたし責任ある役職についていった」と言います。富安の例にもあるように、リーダーとして「いつもニコニコ」していることも必要ではありますが、一方では部下の成長のための厳しさも必要なのです。
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