大阪のレトロ建築物、意外な人気 隠れた観光資源、スタンプラリーで脚光
実は大阪には歴史の長い老舗企業が多い。大阪商工会議所が行った2011年調査によれば、創業100年以上を経た企業約2万5000社のうち1272社、5.1%に当たる企業が大阪に本社を置いているという。これは日本でいちばん老舗が多い東京の9.4%の次に位置する。
老若男女を問わず関心呼ぶ
今回のスタンプラリーの対象とはなっていないが、たとえば、中之島のど真ん中、御堂筋沿いに建つ日本銀行大阪支店もそのひとつ。明治時代の建築家でひときわ名声の高い辰野金吾が設計し、1903(明治36)年に建てられたものだ。ほかにも、近代建築物とはやや趣が異なるが、中央区今橋にある愛珠幼稚園は1901(明治34)年の竣工。木造の園舎は日本最古といわれ、国の重要文化財にも指定されている。
また、緒方洪庵が開いた蘭学塾、適塾もオフィス街のど真ん中、中央区北浜にあって、1845(弘化2)年に移転した当時をしのばせる姿で現存している。つまり、隠れた観光資源である国の史跡および重要文化財に指定されている建物がビジネス街のあちらこちらに点在しているのが、大阪の魅力である。
一般に街歩きイベントは高齢者に偏る傾向がある。ところが、今回の船場スタンプラリーに参加しているのは、下は4歳から上は60歳台までと年齢層が幅広い。大商では「めぐる順番も強制されず、好きなところから参加できる自由度の高さが受けているのでは」と分析する。
実際、平日にスタンプを押していたOL2人組からは「時間に縛られないので気軽に参加できる」と好意的な声が聞かれた。参加したビルからも「これまでと違う客層が増えた」と歓迎する声も寄せられ、評判も上々だ。
さらに「こういう機会でもなければ(レトロ建築物があることを)見過ごしていたかも」(ラリー参加者)と、大阪・船場の魅力再発見にも一役買っているようだ。
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