東証・大証合併の思わぬ波紋 上場廃止基準に抵触する企業が続出か

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2013年1月に東京証券取引所と大阪証券取引所とが経営統合し、日本取引所グループが発足する。13年7月には現物株市場が東証に統合され、清算業務や上場審査、市場の不正取引監視を担う自主規制業務も統合される見通しだ。

東証と大証に重複で上場している企業は、上場維持費用を削減できるなどメリットがあると言われる。だが、大証のみに単独上場している189社は、逆に上場維持費用が増えるなど負担が増すことになる。ほかにも東証では株主分布状況の提出が義務付けられるなど、事務手続き面でも煩雑となるのは避けられない。

上場廃止基準は東証側にサヤ寄せ

さらに現物市場を東証に統合するにあたって、1部指定基準や2部指定替え基準、上場廃止基準も東証基準にサヤ寄せされる。この結果、大証単独上場数社には何らかの対応が求められることとなった。

たとえば、上場廃止基準のひとつである株主数。大証1部、2部では単元株主数が150人以上存在すれば上場基準をクリアするが、東証1部、2部では単元株主数は400人以上が必要となる。この基準に抵触しそうなのは大証単独上場企業189社中7社だ。

株主数を増やす手段としては、業績を向上させ企業価値の魅力を上げるという王道のほかに、単元株のくくり直し(1単元の株式数引き下げ)、株式分割、(魅力的な)株主優待の導入、立会外分売の実施などが考えられる。ほかにも株価の低下を考慮に入れなければ、公募増資、株式売り出しなどが考えられる。

なかでも最も手軽に行うことができ、実効性が高そうな施策が単元株のくくり直しだ。また、過去の例をひもとくと単元株のくくり直しを実施している企業の8~9割が同時に株式分割を実施しており、株式分割を実施すると理論上は中立のはずの株価も上昇する。また、単元株のくくり直しのみを実施した場合も、流通株式数の増加から株価が上昇する傾向がみられる。

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