東証・大証合併の思わぬ波紋 上場廃止基準に抵触する企業が続出か

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株主数不足という事態を厳粛に受け止め、早々と対策に着手している企業もある。その1社が、交通や防災などの情報通信システムの開発・販売を行う西菱電機<大証2部、4341>だ。IR体制を強化し、単元株くくり直しの検討に入るなど、着々と準備を進めている。

ところが、13年3月期第2四半期時点で株主数が218人と、もっとも少ないケー・エフ・シー<大証2部、3420>は、「(株主を増やすための)具体策はまだ何も決まっていない。今から策を練っていくところ」といたって呑気。ほか数社も「(上場廃止基準の)具体的な基準はまだ最終決定ではないと聞いている。具体的な話が来ていない以上、何も決められない」と歯切れが悪い。

「激変緩和期間があるのでおいおい考える」

ある会社では「激変緩和期間があると聞いている。それが3年くらいあるとも言うので、おいおい考えればよいのでは」という始末である。

ほかにもこのまま放置すれば、基準に抵触するものに時価総額基準がある。13年12月までは大証であれば3億円以上でクリアできるが、東証では6億円以上が必要。現在は世界的な金融危機を受け緩和されている同基準も14年1月を過ぎれば通常対応に戻され、10億円以上に引き上げられる。

12年12月12日現在では、大証上場の企業で時価総額基準に抵触している企業はない。だが、仮にこのまま13年7月までこの株価が続くとすれば、北日本紡績<大証2部、3409>は自動的に上場廃止基準に抵触することになる。また、同じように仮に同水準が14年1月まで続くとすれば、11社が時価総額基準に抵触する。東証では、12年に時価総額基準に抵触したため上場廃止になった企業は存在しないが、11年にはマザーズで3社、2部では1社が時価総額の所要額に満たず上場廃止となっている。

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