東証・大証合併の思わぬ波紋 上場廃止基準に抵触する企業が続出か

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確かに、ジャスダックとヘラクレスとが統合した際、廃止基準の内容によっては約3年の激変緩和措置期間が設けられた。今回も、現時点では13年1月に日本取引所が発足し、現物市場の基準は13年7月から東証基準を適用することだけは決まっているものの、いきなり東証基準を適用するのではなく、激変緩和措置を設けることが検討されている。

ただ、それがどの基準に適用されるのか、どのくらいの期間に及ぶのか、どの程度の緩和措置になるのかなど、具体的なことは何も決まっていない。

株主や時価総額は簡単に増やせない

株主数を増やしたり、時価総額を上げたりすることは一朝一夕にできることではない。大証は「(大証に上場している企業に対しては)基本的に市場統合に関する説明はすんでいる」としながら、一方で「7月段階で激変緩和措置が取られることになるはずだが、何も決まっていないので…」と、なんとも煮え切らない。

「(市場参加者が少なく)売買しくにかったのが災いした」とは、東証基準に抵触しそうなある企業の弁だが、大海に放り込まれ、かえって波間に飲まれることもありうる。過去10年間、東証では株主数不足で上場廃止となった企業は見当たらない。ただ、個々の企業の対策が遅れれば、何が起こるかわからない。

※そのほかにも流通株式数や流通株比率、売買高なども、基準が引き上げられる。だが、流通株式数や不動株式数は東証、大証とも公表しておらず、本決算期末の数字で判断するため、企業が抵触しているか判断するのは困難。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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