8月26日以降、日本株は波乱の可能性がある 「マーケットの夏休み」は、そろそろ終わりだ

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では「金利の正常化」を目指すイエレンFRB議長にとって、重要なこととは何か。それは、徐々に利上げを市場に織り込ませていくこと。

先週末時点で、市場はFRBの年内利上げを46.2%しか織り込んでいない(CMEの「FedWatch」)。こうした見方を反映して、金融政策の影響を強く受ける米2年債利回りは先週末時点で0.75%と、昨年12月に利上げに踏み切った時点の1%よりも0.25%も低い水準にある。

金融市場の「短期的な不確実性」を嫌うFRBが、現在の日銀のように結果的に「短期的な不確実性」を高めてまでも「市場の虚をつく」、つまり「サプライズを与える」ようなことはありえない。

したがってFRBが「金利の正常化」を目指すとしたら、まずは「短期的な不確実性」を引き下げるために、徐々に市場に利上げを織り込ませ、市場の金利を上昇させようとしていくはずである。

イエレン議長が「夏の終わり」を告げる可能性に注意

そうだとしたら、今週末のジャクソンホールでのイエレンFRB議長の講演は、それに向けての第一歩として、市場の予想以上にタカ派的内容になる可能性を秘めているといえる。

幸いなことに先週末時点でのドル指数は94.48と、過去1年半でみると低い水準にとどまっており、利上げによるドル高には多少のバッファーがある状況にある。

足元の金融市場は、米国経済の穏やかな成長と、FRBによる利上げ先送りという「都合のいい環境」を前提に安定的に推移してきている。しかし、NYダウを筆頭に金融市場のボラティリティが限界に近い水準まで低下しているなかで、市場の想定以上にタカ派的な発言がイエレンFRB議長から飛び出したら、市場が「短期的な不確実性」に見舞われる可能性は否定できない。

季節が夏から秋への切り替え時期にあることを忘れてはならない。「短期的な不確実性」が低下すればするほど、逆に警戒が必要なのである。つまり、今後はイエレンFRB議長による「タカ派的な発言」が増える可能性があることに留意しなければならない。

近藤 駿介 金融・経済評論家/コラムニスト

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こんどう しゅんすけ / Shunsuke Kondo

1957年東京生まれ、早稲田大学理工学部土木工学科卒業後、総合建設会社勤務を経て、31歳で野村投信(現野村アセットマネジメント)に入社。株式、債券、先物・オプション取引等を担当した後、野村総合研究所に出向しストラテジストとして活躍。再び、野村アセットに戻ってからは、担当ファンドが東洋経済の年間運用成績第2位に選出されるなどファンドマネージャーとして活躍。その他、運用責任者として、日本初の上場投資信託(ETF)である「日経300上場投信」の設定・上場を成功させ、1996年に野村アセット初のプロフェッショナル・ファンドマネージャーとなる。現在は金融や資産運用に関する客観的な知識を広めるべく、合同会社アナザーステージを立ち上げ、会長兼CEOとして、一般向けの金融セミナーや投資セミナーなど専門家向けセミナー等も開催中。自身が手掛けるメルマガ『マーケット・オピニオン』は、個人投資家から圧倒的な支持を得る。

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