日本株は「日銀ETF中毒」の一歩手前だ 日銀に振り回され続ける日本市場
8月19日の日経平均株価は1万6545円で終了した。前週末比では2.21%下落。史上最高値を更新していたNYダウや、年初来高値推移だった英FTSE100指数など主要国の株価指数もそろってマイナスとなった。
「日銀ETF買い」の有無に振り回される日本市場
英米株価指数は高値圏での利益確定が入ったようだが、日本は事情が違う。日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ実施のタイミングが不透明となったことが要因にある。お盆入りで薄商いとなった東京市場は「日銀ETF買い入れの有無」に振り回されっぱなし状態だ。「日銀の呪縛」によって東京市場は、身動きが取れなくなっている。
確かに政府主導による官製相場は、一定の安心感を生み出す。だが、日銀によるETF買い入れなど金融政策は一時的なカンフル剤に留めておくべきだろう。「すでにそうなっている」という指摘もあるが、このままだと追加緩和を常に欲する「患者」のような状態になってしまうのではないか?
それはさておき、まずは日銀のETF買い入れに関する動きから再度確認しておきたい。
1週間前に寄稿した「日本株『みせかけの好調』の後に来るもの」では、日銀会合以降、市場で発生した3つの変化として、「日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)の低下」「NT倍率の拡大」「ドル建て日経平均の高値更新」を紹介した。
これらの事象には、日銀によるETF買い入れ幅の拡大が根底にある。日銀は、4日と10日には707億円のETF買入を実施した(設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF買い入れ12億円は毎日入るので除く)。
日銀が下落局面でETFを大量に購入するためリスク・プレミアムが低下(日経VIの低下)し、日経平均へのインパクトが大きい銘柄が先行して上昇(NT倍率の拡大)。そして、円高進行にもかかわらず、官製相場による作られた株高となる(ドル建て日経平均の高値更新)という一連の流れを説明した。
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