山崎元氏「インフレ政策に躊躇など不要だ」

日本における「日銀の独立性」問題を考える

とはいえ、国家としての日本は、会社で言うならアメリカの実質支配子会社のような存在であり、憲法は子会社の定款に相当するが、ここに「戦争放棄」と書き込んでおくことで、子会社の社員たるわれわれ日本人が直接戦場に派遣されるブラックな扱いを受けにくくなる面がある。「方便としての平和憲法」を守っておこうという立場は、子会社社員の間では一定の説得力を持つと思う(私は、賛成だ)。

一方、日銀が政府と距離を取り、金融政策の手段ばかりでなく、政策目標に関しても独立性を持つような、現在の日銀法の下の日銀が、政府と日銀が一体となった金融政策の遂行を邪魔している面がある。目下のところ、日銀の政策自体は緩和方向なので好ましく、デフレ脱却の邪魔をしているのは、財政再建にこだわる親会社(日本政府、特に財務省)のほうなのだが、「ヘリマネ」的政策がスムーズに実行されない点を見るに、「政府の影響から独立な中央銀行」という憲法九条的な建前にこだわることが、機動的な政策の邪魔をしているのではないかと思える。

不換紙幣自体が人工的に作ったもの

いわゆる「財政ファイナンス」の一般的弊害は「インフレ」だ。今はインフレが足りないのだから、日銀による国債直接引き受けも含めて、インフレに向けた政策を速やかに採るべきだろう。もちろん、インフレが目標をオーバーした場合には、金融引き締めに転ずるといいのだし、同時に景気が過熱していれば増税を組み合わせてもいい。そのためにこそ「インフレ目標」があるわけだ。

そもそも不換紙幣を流通させている通貨自体が人工的なモノなのだから、その価値を調整することに躊躇する必要はない。「山崎君、不換紙幣自体が人工的に作ったものなのだから、その価値を調整できないなんて考えること自体がバカげています」と教えてくれた、恩師(ゼミの指導教官)の言葉を思い出す。

なお、筆者は「ヘリマネ」政策の一方法として主張されるような償還不要(それ自体として将来の増税を予想させない)の永久国債の発行と、その日銀引き受けには、あまりこだわるつもりはない。満期のある国債でも借り換えして残高を維持出来るし、国債の償還のためでなくとも、政府は増税するオプションを常に持っている。

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