山崎元氏「インフレ政策に躊躇など不要だ」

日本における「日銀の独立性」問題を考える

現在の状況では、株価はもう少し低くても不思議ではないが、一発の投入額が700億円強にパワーアップされた日銀のETF購入が株価下落時の下支えとなることもあって、株価は上がりにくいと同時に下がりにくくもある。どうやら、スッキリしない展開にはまり込みつつあるのかも知れない。

以前、本連載でぐっちーさんが「個人消費を直接刺激せよ」、「消費税率の引き下げが最も好ましい」と述べていたが、筆者も同感だ。

デフレ脱却を財政再建に優先させることが必要だし、方向性としては(1)当面財政赤字の拡大が必要で、(2)支出の対象は公共事業などよりも広く消費者におカネが回る政策が良く、(3)同時に円高を抑えるために金融緩和を行うべきだ、というのが、あるべき政策に関しては常識的な結論だろう。

日銀の独立性と憲法第九条

財政赤字を日銀が直接ファイナンスする「ヘリコプター・マネー」的政策を採ることに躊躇はいらない。新発国債を一時的に金融機関に買わせて、それを日銀が買い取る「日銀トレード」が定常化した現状は、財政支出面で不十分ながらファイナンス的にはすでにオスプレイ並みのヘリコプターが飛んでいる状態だと言える(事故が心配な点も似ているかも知れないが)。

先般、終戦記念日を迎えて考えたことだが、日本における日銀の独立性は、憲法第九条とよく似ている。どちらも現状に合っていないのだ。自衛隊という立派な「戦力」を持っている現状に対して、憲法九条は実態に合っていないとは、「アンチ・タカ派」の筆者でも思う。自衛隊か、九条かどちらかを廃止せよ、と論理の神様に命じられたら、現実的に廃すべきは九条のほうだろう。

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