実はあなたも鉄道マニア? 秘境駅とシニアと鉄旅オブザイヤー

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不思議に思い、近くの席に座っていた老夫婦に参加した理由を聞いてみました。返ってきた答えは、「沿線の紅葉が楽しめるから」。

なるほど、列車に乗りながら見る紅葉は自動車やバスとはまた違った味わいがあります。マニアックなツアーだからマニアックな人が参加するとは限らないのです。

参加者のみなさんは秘境駅をしっかり堪能していました。たとえば、小和田駅。1993年の「雅子さまブーム」のときには、雅子さまの旧姓と同じ駅名が話題を呼びました。今回も小和田駅の駅舎の前で記念撮影する人の列が絶えませんでした。

シニア世代が殺到

後日、JR東海ツアーズを取材する機会があり、営業担当者にこの体験を話しましたが、まったく意外そうな表情をしませんでした。このツアーは過去にも実施されており、決してマニアックな鉄道ファンではないシニア世代がこのツアーを利用するのは例年のことなのかもしれない、とそのときは感じました。

ここまで書いてみて、知人の鉄道好きが企画した鉄道ツアーのことを思い出しました。このツアーには一昨年、昨年と参加しており、どちらもキャンセル待ちが出るほどの人気です。不思議なのは、マニアックな内容にもかかわらず、家族連れでの参加が多いこと(実は僕も娘と参加していたので、自分も家族連れには違いないのですが)。

昨年のツアーは、お座敷列車に乗って碓氷峠の鉄道文化むらを日帰りで訪れるというツアーでした。僕の隣に座っていた男性2人は友人同士での参加。2人とも「鉄道ファンではない」と言っていましたが、1人は「碓氷峠の廃線跡を散策するのが楽しみ」と言っていました。もう1人は、話をしているうちに、僕が知らない鉄道の話をたくさん教えてくれました。僕からみればどちらの人も間違いなく「鉄道ファン」です。先ほどの飯田線秘境駅の例も合わせて見ると、熱意や知識の量で鉄道ファンか否かの線引きをすることはあまり意味がない。鉄道の旅を楽しめる人はみな鉄道ファンだと考えれば、鉄道ファンの数はどこまでも広がっていきそうです。

1月23日、大宮の鉄道博物館に行ってきました。この日は優れた鉄道ツアーを表彰する「鉄旅オブザイヤー」の授賞式。その発表が鉄道博物館で行われます。今年は第2回目です。

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