“だぼっ”とした大きめのサイズの服装は、おじさんくさく見えてしまう要因のひとつです。典型的な例がスーツ姿でしょう。
街中やオフィスで周囲の人を見渡してください。“だぼっ”とした大きめのサイズのスーツを着ているのは「おじさんだけ」ということに気づくでしょう。女性やイマドキの若者は自分の体のラインをキレイに見せる洋服を選ぶため、ぴったり目の「ジャストサイズ」のスーツを好んで着ます。
かくして、“だぼっ”としたスーツは、おじさんくさい人とそうでない人との一線を画すアイコンになり、周囲の人にある種の違和感を感じさせてしまっているのです。
バブル期のバカでかいサイズ感
ではなぜ、おじさん世代は“だぼっ”とした服を好んで着るのでしょうか?
ひとつ目の理由として、見た目より動きやすさを優先することが挙げられます。先の調査結果が示すとおり、おじさん世代は他人の視線は二の次。そこに大きめのサイズのほうが、圧迫感がなく動きやすいという先入観が加わります。結果、見た目より機能優先で、ついつい大きめの“だぼっ”としたサイズの洋服を選んでしまうという訳です。
もうひとつの理由としては、自身が最も輝いていた頃、最もおしゃれに関心があった時代のファッション感覚を引きずるというもの。40〜50代の人の場合は、1980年代の「バブル」と呼ばれた時代がこれにあたります。
日本経済も当時のおじさんたちもギラギラと輝いていたあの頃。世の中は「銭や、銭や」と狂乱し、より大きくという拡大志向の中、洋服のサイズも「より大きく」だったのです。
大きな肩パット、手の甲が隠れるくらい長い袖、お尻をすっぽり包み込むような長い裾。パンツもツータックは当たり前。スリーやフォータックなんかもあって幅も大きめ、裾も長めでゆるゆる。当然、全体のシルエットはダボダボだったわけです。
いま当時の映像を見ると、「異様だ」と声を上げたくなるほどのバカでかいサイズ感。当時の服は実態より大きく見せる「バブル」の映し鏡だったのかもしれません。これが1980年代に青春を過ごしたおじさんたちに刷り込まれたファッションセンスです。いまだ、この時代の感覚で洋服選びをしている人の何と多いことでしょう。
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