ポケモンGOの世界観は「任天堂らしさ」の塊だ このゲームは、大きな可能性を秘めている

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木本:瀧本先生が再三おっしゃっている、「みんなが使い方わからないもの」を現実のものにして、ヒットしたと。

瀧本 哲史(たきもと てつふみ)/京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学科研究科助手を経て、マッキンゼー&カンパニー勤務。独立後、エンジェル投資家として活動しながら、京都大学で教鞭をとる。著書に『僕は君たちに武器を配りたい』『君に友だちはいらない』『武器としての決断思考』『武器としての交渉思考』『ミライの授業』などがある

瀧本:任天堂が偉いのは、ゲームをシンプルに戻そうという意図があったこと。ゲームが複雑になって、それぞれの部屋に引きこもってやるようになった。ファミリーコンピュータでスタートしたのに、おじいさんやおばあさんができるゲームが無くなった深い反省を込めて、ファミリーでやるWiiを出した。もう一回、お茶の間にみんなが集まる「鍋のようなゲーム」というのだけ決まっていて、ほかは何も決まっていなかった。

たぶん「ポケモンGO」を開発した背景には「ゲームばかりやって、外に行かない引きこもりを増やしている」という批判があったと思うんです。そこで「外遊びに行くゲーム」を作ろうと。

任天堂は、おそらくそういう発想をする人たち集団。京都の会社ですが、わりと真面目なんです。「昔の子どもたちの外遊び」が理想で、その世界とずれるのはよくないと考えている。

木本:ヒットするものとか、大きくなる事業は、「お金を稼ぎたいから」「会社を大きくしたいから」がスタートになることは少ないんでしょうか。

瀧本:その発想ではあまりうまくいきません。儲かりそうなことはみんながやりたがるから、競争になって、全員儲からない。

誰もが必要な温かいものがビジネスになる

木本:なるほど。夢とかロマンとか家族とか、誰もが必要としている温かいモノが商売につながる。

瀧本:そういう側面はあります。世界にはたくさんインターネット企業がありますが、いちばん最初に成功したのはアメリカオンライン(AOL)。パソコン通信を爆発的に広げた会社で、社長の発想は「パソコン通信は難しくて誰も接続できない。本当は遠く離れたおばあちゃんと連絡を取るために使うべきだから、おばあちゃんが使えるような仕組みを作ればいける」でした。それを実現して全米を制覇した。

木本:初動の気持ち、心構えがすばらしいですね。

瀧本:シンプルな発想で、みんなが反対しているようなモノがいいんです。いい事業はそうそううまくいかないから儲からない時期も長い。それで「儲からないから」とやめてしまう。目的がある人は継続できるから、結果として成功する。

任天堂は花札とトランプで全国制覇した会社ですが、普通のおもちゃ屋さん相手がスタート。全国のおもちゃ屋さんでカードが廃れても売れるモノということでファミコンを作ったわけ。だからファミコンのソフトの大きさとトランプのカードの大きさは似ています。それは彼らが小さいおもちゃを運ぶための流通網を持っているから、そのルートを使って売りたいというところからきているんです。

木本:既存のものを捨てるのではなくて、上手に活用する会社だと。「始末」にうるさい京都人の血を感じますね。でも、これだけヒットすると「ポケモンGO」に関連したビジネスもたくさん出てきそうですね。

瀧本:マクドナルドが早速提携していますが、ありとあらゆるモノについて、「ポケモンGO」を使うと何ができるかアイデア出しをするといいですね。

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