デキない人ほど「忙しいフリ」に走る真の理由 仕事の「やり方」が劇的に生まれ変わる時代

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最近は、そういう人たちが増えた。なぜかといえば、競争社会になって「競争に負けそうな人たち」が増えたからだ。その光景は、ぼくには既視感がある。というのも、ぼくは現代の競争社会に先駆けて、激しい競争の中に暮らしていたからだ。

それは、今から20年前の放送作家時代だ。放送作家は、その頃から激しい競争社会だった。そこでは、無能な人間ほど、ある言葉が口癖となっていた。それは「忙しい」だ。仕事がない人間ほど、それを隠そうとして、忙しいフリをして、自分の無能さを隠そうとする。

そのことに気づいてから、ぼくらの間では「忙しい」という言葉が禁句になった。その言葉を言う人間ほど、能力がなく淘汰されそうな負け組予備軍の証左となるからだ。

そしてそのときから、ぼくは、「忙しくしない」というのを1つの決めごととしてきた。そしてそのためには、時間を徹底的に有効活用すること、また仕事のやり方を工夫することを心がけた。

その結果、やがてインターネットの恩恵などもあって、生産性や効率はどんどんと上がった。かける時間がどんどん短くなり、その分、仕事以外のインプットに大幅に回せるようになったのである。

そうして今では、1日6時間以上働くことはほとんどなくなった。もちろん、働いている間はめいっぱい集中するが、6時間もあれば十二分な仕事量がこなせるので、その他の時間は仕事以外のことに有効活用できるようになったのだ。

仕事の「やり方」こそが成果を左右する

また、そこで新たなことも分かった。それは、仕事のクオリティというのは、仕事のやり方に直結するということだ。仕事のやり方のクオリティを上げれば、仕事のクオリティは自ずと上がる。

それが分かってから、ぼくは、ぼくや社員の仕事の「結果」に対しては何も言わなくなった。それよりも、仕事の過程――つまり「やり方」にしか注目しなくなった。そしてやり方が間違っていれば、そこを集中的に直すようになった。

すると、これは最初大きなアレルギーを生んだ。多くの人は、仕事というのはアウトプットや結果だと思っているから、過程ややり方はごちゃごちゃ言われたくないと思っていたからだ。

しかし、ぼくがやり方にこだわりながら結果を出し続けていると、やがて彼らも「やり方」の重要性を認識するようになった。そうして結果的に、ぼくの会社全体がやり方を重視するようになり、アウトプットのクオリティも高められるようになったのだ。

そんなふうに、今は仕事のやり方というのが劇的に生まれ変わっている。そんな時代に、自分の無能さを隠したいがために「忙しいフリ」をしている人は、ますます競争から遅れることになるだろう。

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岩崎 夏海 作家

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いわさき なつみ / Natsumi Iwasaki

1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著『部屋を活かせば人生が変わる』(累計3万部)などがある。

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