米国の住宅市場、回復支える“意外な主役” 景気・経済観測(米国)

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その点で最近注目されているのが、米消費者金融保護局(CFPB)が今年1月に発表した、新たな住宅ローンの規制の内容である。

新たな規制では、貸し手となる金融機関が借り手の返済能力を確認し、ローンの規模や期間、手数料などで一定の条件を満たす「Qualified Mortgage(適格ローン)」を組成すれば、当該ローンがデフォルトした際に、金融機関の責任が免除されることとなった。これまでは、「適格ローン」の条件や、デフォルトの際の責任の所在が曖昧であったが、今回の規制内容の発表によって、そうした曖昧さが払拭された格好だ。

金融機関の訴訟リスクを軽減

一般的に、新たな規制の導入は、当該市場の拡大を抑制する要因となりかねない。しかし、今回発表された規制は、金融機関の訴訟リスクを軽減するという点で住宅ローンの貸出を促進するとの見方も多い。そうなれば、住宅販売の回復を後押しする要因となる。

同規制が施行されるのは来年1月とまだ先のことだが、金融機関は規制の影響を先取りして行動する。金融機関の貸出態度にどのような変化がみられるのか、今後の住宅市場の動向を占ううえで、非常に注目している。

服部 直樹 みずほ総合研究所エコノミスト

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はっとり なおき

2009年神戸大学経済学部卒業後、みずほ総合研究所入社。12年11月よりニューヨーク事務所駐在。米国担当エコノミストとして、雇用動向や個人消費、住宅市場、金融政策などの分析に従事。

 

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