米国株は、なぜ史上最高値を更新できたのか カギはケインズ政策にある
なぜ米国株式が先進国でいち早く史上最高値を更新したのかと言えば、米国が先進国で唯一長期金利をまともな水準に保ち、銀行利ザヤが確保され、年率5%ペースの信用増加が続いている、つまり「流動性の罠」を回避している国だからである。
米国は日欧が陥った「流動性の罠」を回避できそうである。そうなれば米国の成功体験が教訓となり日欧が「流動性の罠」から生還できる。米国の経済展望は明るい。ここ数年は経済拡大が続きそうである。つまり、(1)サービス消費起点の好循環、(2)アップサイド余地の大きい住宅、(3)本格起動準備の公的需要、(4)活力ある信用拡大、の4つの景気拡大の推進力が健在である。
ただ米国は景気サイクルの後半に入り、インフレリスクが高まりつつある。雇用増、労働需給のひっ迫が賃金上昇圧力を高め、労働分配率を上昇させ、物価上昇率を高めている。完全雇用の実現、2%インフレターゲットの実現と言う量的金融緩和の目的がほぼ達成されつつあることを示している(日本・欧州は成功とはいえないが)。
なぜ米国だけが流動性の罠を回避できたのか
それでは米国だけが、先進国で唯一流動性の罠を回避できた理由は何か。それを可能にしたものとして、(1)前FRB議長バーナンキ氏による迅速・適切な政策選択、(2)効率的、弾力的な労働、資本市場の2要因、が指摘できる。政策力と市場の効率性の二つこそ、米国が世界で最も優れている要素である。
失業率変化とGDP変化の相関度を国ごとに図示すると、米国が最もスティープ、つまり弾力的であることが明瞭である(日本は最低)。また資本市場においても、金利低下を活用した、裁定的投資がおこなわれ、資本の最適配分が担保されている。
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