ジャガー初のSUV、乗ってわかったその真価 日本上陸した「Fペース」はどんなクルマか
フロントのオーバーハングをぐっと短くして、ロングノーズを強調し、グラスエリアの上下を狭めることで、疾走感あふれるフォルムを与えている。リアフェンダーの膨らみは、後輪駆動をベースにしたAWDであることの力強さを表現したものだ。
スタートボタンを押すと、センターコンソールからダイヤル式のATセレクターがせりあがってきて、ジャガー一族の一員であることを強調する。フロントに搭載される新開発の2L直4ディーゼルエンジンの最高出力が180馬力と聞くと、4740×1935×1665mmのスリーサイズを持つ2トン級のボディを充分に加速できるか心配になる。
いざ、走りだしてみると、その心配が杞憂だったことに気づく。低速時からモリモリと力が湧いてきて、高速の合流などの中間加速もしっかりしている。実は、加速には最高出力より、最大トルクの方が効いていて、このユニットは1750〜2500rpmという幅広い領域で430Nmの最大トルクを発揮するのだ。
加えて、ZF製8速ATとの相性がよく、1000rpm程度の低いエンジン回転数で高速道路を走っていても、アクセルを踏み込めば、とたんにトルクが湧きだして、頼もしく加速してくれる。通常の走行シーンでは約90%のトルクを後輪に伝えるが、乾いた路面でフルアクセルを開ければ100%の力で後ろ足を蹴る。当然、前輪にトルクが必要と判断すれば、適正なトルクを配分する。
高速での安定した走行は、「XF」「XE」に使われて鍛え上げられてきたプラットフォームの影響も大きい。といっても、アルミ製シャシーの基本骨格は共通だが、約80%もの部品を「Fペース」専用に開発し、「Fペース」の個性を引き出した乗り味に仕立てあげられている。前ダブルウィッシュボーン、後インテグラルリンク式の足回りは、ワインディングロードの荒れた路面もしっかりと捉える。ダンパーがしっかりと動く印象で、一般道を何の気なしに走るような日常使いのシーンでの乗り心地も良い。
後出の3リッターV6ガソリンエンジンと比べると、鼻先が軽いためか、操舵したときのよりリニアな印象があって、気持ちよくコントロールできる。シャシーの剛性が確保できれば、スポーティネスな走りに必要な応答性の高さと、乗り心地の両立は可能なのだ。
849万円の上級グレードと乗り比べ
比較のため、849万円のプライスタグを掲げる上級モデルの「35t R−Sport」もテストに連れ出してみた。テスト車は、鮮やかな赤のボディカラーに白の革内装という華やかな組み合わせだ。
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