ジャガー初のSUV、乗ってわかったその真価 日本上陸した「Fペース」はどんなクルマか

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35t R−Sport

スーパーチャージャー付き3リッターV6ガソリンエンジン+ZF製8速ATの組み合わせは、スポーツカーの「F-Type」と同じなのだから、俄然、期待が膨らむ。アクセルペダルをグイッと踏み込むと、勇ましい咆哮を響かせながら加速していく。搭載されるエンジンは最高出力340馬力/最大トルク450Nmを発揮し、鋭い加速感を生み出す。0-100km/h加速は5.8秒と、ライバルの「マカン」と比べても見劣りしない。

スポーツカー・メーカーのSUVを買う理由

しつこいようだが、車重1980kgのミドルサイズSUVなのに、だ。日本の道で実力を発揮するシーンはそう多くないが、スポーツカー・メーカーのSUVを買う理由がこうしたパフォーマンスの高さにあるのは否めない。だからこそ、このSUVに、ジャガーの設立の理念である「Grace, Pace and Space」のうち、スピード感があふれる意味合いを持つ”Pace”を車名に採用したということだろう。

一見すると、華やかな見た目の流行りのSUVだが、長く乗れる実用性も兼ね備えている。例えば、丈夫なカーペット素材が貼られた大きな荷室を備えており、汚れたものを入れるときにはクルッと裏返せば、掃除しやすいラバー加工の面に変えられる。ディーゼルエンジンはエコカー減税の対象になっているので、所得税と重量税が減税になり、翌年以降の自動車税も減免される。

もっとも重要なのは運転が楽しいという点だ。一般道で流しているようなときでも、リニアな操舵感と乗り心地の良さで、気持ちよく運転ができる。剛性感の高いシャシーのおかげで、背高ボディにもかかわらず、高速道路での安定感も高い。さらに、3リッターV6ガソリンエンジンがパワフルなのは頭でわかっていても、2リッター直4ディーゼルエンジンの方が鼻先は軽いのか、しゃきっと小気味のいい走りっぷりだ。

ジャガーのSUVで一流ホテルに乗り付けたり、さっそうとアウトドアに出かけたり、といった自分の姿を思い浮かべると、高嶺の花とあきらめずに、「出世したら買えるかもしれない、いや、買ってやろう」と思える一台だ。

川端 由美 モータージャーナリスト
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