勤務19年で手取り16万円、保育士の実態 書類に追われ、ケガにビクビク

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今年2月、「保育園落ちた日本死ね!!!」の匿名ブログで注目を集めた待機児童問題。背景にある「保育士不足」にもスポットが当たった。というのも、認可保育園では保育士の人数が「児童福祉施設最低基準」によって「0歳児3人につき保育士1人以上」などと定められていて、保育士が足りないと園児を受け入れることができず、保育士不足による待機児童も各地で発生している。保育士の有効求人倍率をみると、毎年1月ごろがピークで2015年1月には2.18倍。東京は5倍を超えている。それだけ求人に対し、なり手が少ないことがわかる。

19年目で手取り16万円

厚生労働省職業安定局「保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者に対する意識調査」(2013)から

保育士資格を持ちながら保育士として勤務していない「潜在保育士」は国の推計で70万人以上いるという。厚生労働省が13年に実施した「保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者に対する意識調査」では、その理由として、半数近い人が「賃金が希望と合わない」と回答。「他職種への興味」「責任の重さ・事故への不安」が4割を超えた。責任や業務の負担は大きいのに、賃金が安すぎるという不満が浮かび上がってくる。

厚労省の15年賃金構造基本統計調査によると、民間保育士の平均賃金は月額約21万3千円。全業種の平均(30万4千円)より約9万円低い。これだけ売り手市場の保育業界なのに、保育士の賃金が増えない理由は、認可保育園の保育士の賃金が、政府の決める公定価格に左右されるからだ。保育所の運営費は国や自治体が支出する保育所運営費や補助金でまかなわれ、保育士の数も決められている。

「国が決めた基準があるので、賃金を上げることもできず、保育士の数も現場の実態を反映していないため、低賃金で過重労働になってしまう。深刻な保育士不足は国の政策の結果です」

こう指摘するのは全国福祉保育労働組合(福祉保育労)の小山道雄・副中央執行委員長だ。

福祉保育労に寄せられた「保育現場の声」には、自身の給与明細を添付する人もいた。例えば昨年11月分給与は、17年目の保育士で手取りが17万2862円だったり、19年目で16万6554円だったり。手取りが14万円余りの4年目の男性保育士は吐露する。

「結婚はできたとしても、暮らしていけるか考えるだけで頭が痛くなります」

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