キャシャレルに限らず、ヨーロッパのブランドには、すべてコンセプトとストーリーがある。手塚さんは、「目に見えないものを売る」手法は、日本でも応用できるのではないかと考える。
「ヨーロッパの歴史と伝統を、いかにブランド価値に昇華させるか。そして、それをいかにして顧客に「体験」として売るか、を教えてくれた授業でした。
ヨーロッパって、観光にしてもファッションにしても、歴史と伝統のマネタイズが異常にうまい。ヨーロッパの国同士で競争をしながら、国をブランディングしてきた結果ではないでしょうか。このマーケティング手法を日本にも生かせないかと思っています」
製品を作る前に、コンセプトを売る!
ブランドマーケティングに魅せられた手塚さんは、2012年夏、ロンドンビジネススクール(LBS)の卒業生が創業したベンチャー企業でインターンとして働くことにした。インターンシップではなるべく、未経験の分野に挑戦してみたかったという。
「日本国外」「ベンチャー」「ブランド」というキーワードで、LBSのウェブサイトで求人企業を探してみると、「ディグビー・ファイン・イングリッシュ社」というベンチャー企業が目に留まった。
勤務地はロンドンで、ベンチャー企業。しかも、イギリス製のスパークリングワインを売る会社だ。お酒好きの手塚さんには、たまらなく魅力的だった。同社は、アジアでのスパークリングワインの需要を市場調査するLBSの学生を探していた。
面接を受けてみたところ、合格。2012年8月に、1カ月ほど働くことになった。インターンとして採用されたのは、手塚さんと、同級生の中国人女性だった。
ディグビー社の共同経営者は、トレバー・クロフさん(38)。2005年にLBSを卒業し、オラクルなどのIT企業を経て、2012年に同社を創業した。
インターンシップを始めて、まず驚いたのが、「本当に何もないところから始めていた」こと。同社のウェブサイトを見てみると、確かに「OUR STORY」しか、載っていない!(そのサイトはこちら→)
決まっているのは、「英国らしさ」をブランドにして、シャンパンに負けぬほどスパークリングワインを売ることだけだった。
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