「売り物であるスパークリングワインすらまだなくて、資金調達もこれからでした。日本に一時帰国して、ソムリエの方々などに調査に行ったときに、『ところで、売り物のスパークリングワインは?』と聞かれて、『いや、それはこれから作るんです』と言うと、苦笑されましたね。
それでも僕が働いている間に、資金調達も決まって、パッケージなども決まっていきましたから、コンセプトさえあれば何とかなるもんだなと思いました」
手塚さんが、同社のインターンシップで体得したのは、『流行とか、人の評価なんて関係ない。自分のやりたいことを形にすればいいじゃないか』というメッセージだった。
創業者のトレバー・クロフさんは、ITの専門家でありながら、起業するときは、「スパークリングワイン」を選び、何よりも、イギリスブランドを世界に売ることにこだわった。
クロフさんは、将来の進路に悩む手塚さんに、こんなアドバイスをくれたという。
「MBAに投資した分を取り戻そうと思うと、コンサルティングや投資銀行という選択肢が合理的なんだろうけれど、そのとき、そのときに夢中になれるものをやったほうがいいよ!」
手塚さんは現在、複数の企業から内定をもらい、最終的な就職先を検討中だが、「好きなことを仕事にできる会社」を選ぼうと熟慮を重ねている。
筆者が、「クロフさんのスパークリングワインの会社に、そのまま就職しないのですか?」と聞いてみたら、大笑いされてしまった。
「まだまだこれからの会社なので、お給料はいただいたものの、日本での調査費は自分で負担するような感じでした。もうちょっと会社が成長した段階で、考えてみたいと思います!」
人生、本気で楽しんでますか?
「ヨーロッパの人たちと接していると、『人生を楽しむことへのハンパない意気込み』を感じます。仕事、家族、遊びに、均等に3分の1ずつ力を注いでいるイメージです。だから、仕事については、非常に合理的です。金融でも、ファッションでも、バリュー・チェーンのどこを押さえると、最も効率的に儲かるのか、というのを彼らはとてもよくわかっています」
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