ネット予約急伸、「飲食店争奪戦」が始まった ホテルと比べてなぜ遅れていたのか?

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が、飲食店の場合、ネット予約を取り入れている店舗でも、電話予約が約9割と圧倒的だ。今やネット予約が当たり前になったホテルや旅館と比べて、普及が送れているのには理由がある。ホテルや旅館の場合、予約は部屋ごとに入るため、管理は簡単にできる。しかし、飲食店は来店客に合わせて調整する場面が多いという事情があるのだ。

たとえば、「約10人」と予約した団体客が、当日に15人近くに増えることも頻繁だ。また、特に夜の時間帯の場合、客が店にどれだけ滞在するのか把握しづらい。予約せずに来店する客も多く、予約客との調整も難しい。また、個人経営の店舗の場合、そもそもパソコンを置くスペースがなかったり、店主がネットが苦手といったケースもある。

こうした理由から、一席ごとに予約が入る美容室やネイルサロンと比べても、飲食店はネット予約が普及していなかった。

台帳を電子化して、管理しやすくする

そうした中、各社が取り組むのは、飲食店が予約管理に使っている紙の台帳の電子化だ。店舗が複数のネット予約サービスを利用する場合、台帳を電子化して予約や空席状況を一元管理できる態勢にすることが利便性向上のカギを握るからだ。

リクルートは5月に台帳アプリ「レストランボード」を投入。複雑な席数の管理が必要な飲食店向けに機能を作り込んでいる。カカクコムも同様のサービス「ヨヤクノート」を今年1月から展開。ぐるなびも秋ごろまでに台帳サービスに乗り出す。

カカクコムで予約事業を手掛ける食べログ本部の宮坂直マネージャーは、「まずは飲食店がネット予約にスムーズに対応できる態勢を整えていくことが重要」と説明する。ネットで申し込むと、同時に席を確保できる「即時予約」がユーザーにとっては便利だが、店舗側の受け入れ態勢がまだ十分でないため、もう少し環境整備が進む必要があるとの分析だ。

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