ネット予約急伸、「飲食店争奪戦」が始まった ホテルと比べてなぜ遅れていたのか?

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便利さと共に多くの課題もつきまとうネット予約だが、将来の市場拡大は確実視されているため、大手グルメサイト運営企業のほかにも、商機をうかがうネット大手は多い。

ポータルサービスで圧倒的な集客力を誇るヤフーは、1000万人超の月額有料会員「Yanoo!プレミアム」向けに、予約時の割引など特典の導入を検討中だ。スマホ向けのポータル機能アプリ「Yahoo!JAPANアプリ」では予約サービスをトップ画面に表示しており、アプリ利用者へのアピールを強めている。

台帳の電子化においても、ベンチャー企業のトレタ社やエビソル社と提携し、サービス領域を互いに補完している。「後発の立場なので、今後は他社がやっていない取り組みで、利用者獲得ペースを引き上げたい」(ショッピングカンパニーの小川正樹・予約ディレクション部長)。

市場は混戦模様になってきた

7月に上場したLINEも国内6200万人のユーザーを武器に飲食店予約を手掛ける。アプリから申し込みを受けたオペレーターが店舗に予約電話を入れるユニークな仕組みも取り入れている。

経済産業省によると、2015年の飲食店ネット予約市場は2379億円で、前年比3割以上も拡大した。今後も成長は続く見通しだが、シェアを握るプレーヤーは年を追うごとに絞り込まれていくはずだ。

複数のネット予約サービスを使う店舗でも、電子化した台帳は一つに集約するのが合理的なため、今後、特定のサービスへの囲い込みが進む可能性もある。大きな果実を得るのはどの企業になるか、群雄割拠の市場から目が離せない。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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