子供の頃肥満だった人が気をつけたいリスク 成人後、3大疾病を患う可能性も
2014年に医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに発表されたエモリー大学の研究チームの論文によれば、「過体重の5歳児が14歳の時点で肥満である可能性は普通体重の5歳児の4倍」だという。これは7738人の幼稚園児を対象にして行ったもので、社会経済的条件や人種、民族、出生時の体重と肥満リスクとの間に相関はなかった。だが幼少時に体重が増えてしまうと、もう少し大きくなった時の肥満のリスク要因になってしまうという。
子どもの場合、同じ年齢・性別でBMIのパーセンタイル値が95以上だと「肥満」と判断される。現在、米国の子どもの3人に1人が過体重もしくは肥満だ。米疾病予防センター(CDC)によれば、2012年の時点で子どもの18%、青年の21%が肥満だった。
若い頃の肥満の影響は大人になるずっと前から
青少年期の肥満のマイナスの影響は、年を取ってから出るとは限らない。若い頃の肥満の影響について調べているコロラド大学医学大学院のスティーブン・ダニエルズ博士(小児医学)は、肥満児には大人になるずっと前から多くの臓器系で問題が見られることが多いと語る。高血圧にインスリン抵抗性、2型糖尿病、非アルコール性脂肪肝に睡眠時無呼吸症候群、ぜんそく、中性脂肪の数値は高く善玉コレステロールの値は低く、筋肉や骨格への過剰な負担が原因の骨の発達異常やひざ痛や股関節痛に歩行困難――。
若年期の肥満がもたらす悪影響は身体的なものに限らない。肥満の若者はうつを発症しやすい。それによって食生活や運動習慣が乱れ、さらに体重が増すかも知れない。生活の質も落ち、それが成人後も続く可能性もある。
シンガポールで行われた研究によれば「子ども時代に肥満だった人は自分の身体に対していいイメージを持っておらず、自尊心が低く自信があまりない傾向にある。それは成人してから太った人よりも深刻である」という。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームによれば、肥満の子どもや青少年の生活の質はガンに罹患した場合と同じくらいに低くなっていたという。
こうしてデータを見てくると、幼い子供の過度の体重増加を防止することがいかに大切か分かる。その成否を握っているのは主に保護者だ。子どもが何をどのくらいの量食べるか、そしてどのくらい運動をするかの責任を持つのは親だからだ。