通販は「欲しくさせる」ためにここまでやる

なぜ高くても「買ってしまう」のか?

一方で、地方の耳慣れない会社が販売している1本のオリーブオイルには、1800円を出してもかまわないという人が一定数います。すべての商品がそうとは限らないのですが、通販が扱うのは値段が「高い」、すなわち高付加価値の商品です。でも、人気商品は高くても飛ぶように売れているのです。

ほかの例も挙げておきましょう。「茅乃舎(かやのや)だし」という通販商品があります。販売元は、福岡県の食品メーカーである久原本家。家庭料理用のだしパックです。シンプルな「大根のだし煮」を、シズル感満載の大きな写真で見せる新聞広告をご記憶の方も多いかもしれません。だしをたっぷり吸った大根はいかにも「おいしそう!」。思わず「1回くらい注文してみようか」という気をそそられます。茅乃舎だしの1袋あたりの値段は65円弱。

日本でかつお節パックの業界トップに君臨するヤマキ「だしパック かつお味」(6袋入)の標準小売価格は179円。税込みに換算すると、1袋あたり約32円となります。茅乃舎だしの半額です。そう考えると、1袋65円のだしというのは、いかにも高額です。

しかし、初回限定送料無料30袋入で1944円(税込)と言われると、なかなかのお買い得商品だと思えないでしょうか。

「美味しくて品質の高いだしが、毎月2000円くらいなら、まあ買ってもいいか」と多くの家庭が考えます。事実、多くの家庭が茅乃舎だしを継続的に愛用しています。

高くても買われる理由、買われ続ける理由

毎日の買い物でスーパーの棚で眺める見慣れた商品は、普通の、普段の商品です。テレビインフォマーシャル・新聞広告などで初めて出くわす通販の商品は、普通ではない、いわば“特別な商品”ということになります。それだけでもう、通販商品は付加価値の形成で優位です。

もちろん通販商品の価格優位性は、単に珍しいということだけに由来するものではありません。高くても買われる、消費者にとって通販商品を買うべき理由があります。店で売る商品は、テレビの15秒・30秒のCMで認知・特長を理解させて、店頭の商品パッケージでリマインド、POP・プライスカードで購買に誘導します。この間に伝えられる情報はほんのわずかです。

これに対して、通信販売はテレビ広告なら短くとも60秒の尺で、長いほうなら30分(29分)の番組枠をまるまる使ってひとつの商品を説明します。新聞も15段の全面広告が頻繁に使われ、ランディングページは巻物のように延々とタテに伸びていきます。

そこで語られるのは、他商品とは違う詳細な特長、製法・原料、解決できる悩み、生産者・提供者の思い、顧客の喜びの声、価格の理由、作用機序、便益・商品シズルなど。ほかではないこの商品を、安くない価格で買うべき理由が、さまざまな視点からつづられます。店頭販売の商品と比べて提供できる情報量が圧倒的に多いこと、これが通信販売で高付付加価値商品が売れる背景になります。

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